人工知能を組み込んだ新興ブロックチェーン「Ambient」が、シリーズAで7400万ドルの資金を確保した。共同創業者のトラビス・グッド氏は、ビットコインの暗号技術は5年以内に時代遅れとなり得ると指摘し、同ネットワークはその代替として設計されているという。
Ambientはビットコインと同様にPoW方式を採用し、マイナーの移行を視野に入れた設計が特徴とされる。また将来的にはOpenAIに匹敵する分散型AIプラットフォームへの発展も示唆された。一方、企業におけるブロックチェーン活用は広がりを見せる一方で、コンプライアンスやガバナンス対応の不備が依然として普及の障壁となっている。
ビットコインの限界を突くAmbientの技術戦略

Ambientが新たに調達した7400万ドルは、AIを組み込んだ次世代ブロックチェーンの構築に向けた技術開発に充てられる。共同創業者トラビス・グッド氏は、現行のビットコインが依拠する暗号技術に対し「完全に時代遅れになりつつある」と指摘し、今後5年以内にその脆弱性が顕在化すると見ている。特に、膨大な投資を行ってきたマイナーにとって、その技術的遅れは重大なリスクとなる可能性がある。
Ambientが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)方式は、マイナーの既存設備との親和性を高め、スムーズな移行を実現し得る設計とされている。グッド氏は、これまでPoWを「有益な仕組み」として活用しきれた例は少ないとした上で、Ambientがその先例となることを狙う。PoWの電力消費やスケーラビリティへの批判が強まる中、AIとの融合により演算効率や分散性の最適化を図る戦略は注目に値する。
ただし、「ビットコインの代替」となるには、ネットワークの信頼性とセキュリティ、さらに大規模なエコシステムの形成が不可欠であり、技術的優位性だけでは市場の支持を得るには不十分ともいえる。
分散型AI基盤としての布石と企業導入の障壁
グッド氏はAmbientの将来的な展望として、OpenAIに匹敵する分散型AIインフラの構築を示唆している。これは単なる暗号資産のためのネットワークではなく、AIモデルのトレーニングや実行を分散的に担うプラットフォームとしての機能も持たせるという野心的な構想である。その背景には、中央集権型AIに対する懸念や、透明性・中立性を求める社会的要請がある。
一方、企業のブロックチェーン活用は急速に進むものの、現状ではステーブルコインを用いた支払いや国際送金といった実務レベルでの導入には多くの課題が残る。UtilaのCEO、ベンツィ・ラビ氏は、マルチユーザーアクセスやガバナンス管理、コンプライアンス対応といった機能が未整備であることを指摘しており、ブロックチェーン基盤が金融インフラとして機能するには、単なるウォレット以上の管理機構が求められる。
このような現実を踏まえると、Ambientの構想が実現に向けて進むには、技術革新だけでなく、既存金融システムとの統合性や法的整備も重要な要素となる。AIとブロックチェーンの融合がもたらす次の標準化の波が、業界全体の再編を促す可能性も否定できない。
Source:PYMNTS