Nvidia株は2024年の高値から30%下落し、トランプ前大統領による関税政策への警戒感が投資家心理を冷やしている。4月2日には「解放の日」と銘打たれた新関税発表が予定されており、ハイテク・消費関連銘柄に下押し圧力がかかっている。
一方で、アナリストの多くは今回の急落を一時的な反応と見なし、AIインフラや次世代チップ「ブラックウェル」などの成長戦略により、中長期では業績の加速が見込めると評価している。特に、フリーキャッシュフローの年率26%成長や、2030年に向けた目標株価の上方修正が注目されている。
市場全体がスタグフレーション的環境に直面する中でも、Nvidiaはロボティクスや自動運転など多角的な技術展開で成長余地を広げており、投資家の間では「噂で売り、ニュースで買う」機運が高まりつつある。
Nvidiaを取り巻く市場環境と関税政策の影響

2024年に史上最高値を記録したNvidia株は、現在そのピークから約30%の下落を記録し、2.64兆ドルの時価総額となっている。この背景には、ドナルド・トランプ前大統領が提唱する貿易政策の再始動がある。2025年には、海外製自動車とその部品に25%の関税が課され、4月2日にはさらなる関税引き上げが予定されている。この日は「解放の日」と名付けられ、トランプ氏が新たな関税ビジョンを発表する日とされている。
関税の一律20%化という構想が浮上する中、S&P500は年初から5%下落しており、市場には既に動揺が広がっている。さらに、企業利益予測は272ドルから268ドルに引き下げられ、コスト増加と利益率低下が織り込まれつつある。特にハイテクや消費関連株への打撃は大きく、Nvidia、アップル、アマゾン、テスラといった銘柄は軒並み10%以上の下落に直面している。
このような動きの中で、「Sell the rumor, buy the news」の格言に基づく反転を期待する投資家も現れている。ただし、スタグフレーションの兆しがある現在の環境では、楽観視だけでは説明のつかない不確実性が市場全体を覆っている。
AI主導の成長戦略と技術革新が映すNvidiaの中長期展望
NvidiaのCEOであるジェンスン・フアン氏は、2025年以降の成長に向けてAIインフラ構築に本格的に乗り出している。年次イベント「GTC」では、次世代チップ「ブラックウェル(Blackwell)」の投入が発表され、前世代Hopperと比較してAIワークロードにおいて最大40倍の性能向上を実現するとされた。さらに、2026年に「ヴェラ・ルービン」、2027年に「ルービン・ウルトラ」という次世代チップのロードマップも提示されている。
この一連の技術革新は、AI需要の爆発的拡大に備える戦略の一環であり、NvidiaはGPUだけでなくネットワーク技術にも力を入れている。シリコンフォトニクスによる新たなデータセンター構想では、数百万台のGPUを効率的に接続しつつ、従来比で数十メガワットの電力削減が可能になるとされる。さらに、エンタープライズ市場向けに20ペタフロップスの「DGXステーション」も発表されており、単なる半導体企業から統合的AIソリューション企業への進化を強調している。
ただし、成長株であるがゆえに、評価が高止まりしやすい点には留意が必要である。フリーキャッシュフローは2025年の607億ドルから2030年には1,930億ドルに達すると予測されているが、これがすべて実現するとは限らない。にもかかわらず、44人のアナリストのうち38人が「強い買い」と評価しており、短期的な不安定要因よりも長期的なビジョンが投資家の支持を集めている現状が浮かび上がる。
Source: Barchart