暗号資産市場における先行指標として注目されるビットコインが、88,000ドルを下回る水準で推移し「ミニ弱気相場」に入った可能性があると、10x Researchが最新の市場レポートで指摘した。同社は21週移動平均線の割り込みやオンチェーンデータの悪化に加え、短期保有者の実現価格である93,000ドルでの反発失敗を、下落基調を裏付ける証拠として挙げる。
ETFからの資金流出が続くなか、ファンディングレートの停滞や個人投資家の委縮も相まって、市場心理の改善は容易ではないとする慎重な見解が示された。
テクニカル指標とオンチェーンデータが示す「ミニ弱気」の確度

10x Researchの最新レポートによれば、ビットコインは同社が強気と弱気の分水嶺とする「主要トレンドモデル水準」である88,000ドルを下回って推移しており、21週移動平均線も明確に割り込んでいる。短期的には88,500ドルで一時反発したものの、そこからの失速が続いている。さらに短期保有者の実現価格とされる93,000ドルの水準において反発に失敗しており、この価格帯が新たな強固な抵抗線として機能している構図が見える。
オンチェーンデータにおいても、ビットコインの流動性や保有構造に大きな変化が見られず、価格上昇を支える内部要因の欠如が浮き彫りとなっている。これらの要素が同時に重なることで、価格回復には持続的な勢いが求められる状況が明らかだ。価格下落により含み損を抱える投資家が増えると、売却圧力が上昇し、さらなる下落を呼び込む悪循環も想定される。こうした構図は、単なる一時的な調整ではなく、構造的な「ミニ弱気相場」である可能性を強く示唆している。
市場心理の冷え込みと個人投資家の退場がもたらす流動性低下
レポートでは、ミームトークンにおける大規模な損失や取引所上場直後の急落が、個人投資家の信頼を著しく損なったと分析されている。特にTrump(CRYPTO: TRUMP)を含む一部の銘柄で数十億ドル規模の資産が失われたことで、個人の投資行動に急激な萎縮が見られた。これにより、取引ボリュームと流動性が急減し、相場全体が細くなっている。
さらに、ファンディングレートが依然として低迷しており、リスクを取るインセンティブが働かない状況が続いている。ETFからの資金流出も2か月連続で発生しており、かつて裁定取引で活躍したヘッジファンドの活動も停滞している。こうした要素が重なることで、市場は新たな資金流入を欠いたまま、心理的にも実態的にも冷え込みが深まっている。回復には価格上昇ではなく、まず投資家心理を立て直す「安心材料」が必要となる局面にある。
利下げ観測の先送りとビットコインの政策感応度
6月のFOMCで利下げが期待されていたが、10x Researchはインフレの粘着性と堅調な雇用市場を背景に、その可能性が9月以降へと後退するとの見通しを示している。市場では「ハト派的な発言」への反応が限られ、今後は実際の利下げ実行こそが相場回復の鍵を握るとされる。
ビットコインはこれまで金融緩和と連動して価格上昇してきた経緯があり、利下げ遅延が資産選好の転換点になる可能性もある。特に短期の投資マネーは金利差を重視するため、FRBの動きが不確実な状況では暗号資産市場への積極参入をためらう姿勢が強まる。こうしたマクロ経済の不透明感が、ビットコインにとって追加の重しとなりうる構図だ。価格上昇の材料が乏しい中、政策転換が遅れるほど反発機運は遠のくとみられる。
Source:Yahoo Finance