スタンダードチャータード銀行とWeFiの幹部が、ビットコインの市場での役割について見解を示した。長年インフレヘッジとして注目されてきたが、ETF承認以降はNASDAQとの連動性が高まり、むしろテック株のような振る舞いが目立つという。
また、「マグニフィセント・セブン」からテスラを外し、代わりにビットコインを組み入れる仮想指数「Mag 7B」のシミュレーションでは、高リターンかつ低ボラティリティな結果が得られたとされる。
一方で、トランプ氏の政策動向やインフレ指標の上昇により、市場は不透明感を増しており、短期的には依然としてインフレ回避の資産としての側面が注目されている。
インフレヘッジからテック株的存在へ ビットコインの性質を再定義する視点

スタンダードチャータード銀行のデジタル資産リサーチ責任者ジェフ・ケンドリックは、ビットコインが短期的にNASDAQとの連動性を高めていると述べた。これは、2024年のビットコインETF承認を経て、同資産が機関投資家のポートフォリオに組み込まれるようになった結果である。かつての「インフレ対策資産」としての立ち位置は変容しつつあり、今や価格の推移がテック株と類似する状況が観察されている。
加えてケンドリックは、米国を代表するテック銘柄群「マグニフィセント・セブン」からテスラを除外し、ビットコインを加えた仮想指数「Mag 7B」を試算した結果、高リターンかつ低ボラティリティという興味深い数値が得られたと指摘した。これは、ビットコインがテック業界全体の勢いを示す新たなバロメーターとなる可能性を示唆している。価格変動性がテスラを上回らず、かつ国際的な流動性を有するビットコインの特性は、今後より広範な金融資産の中で再評価される余地を持つ。
この仮想指数はあくまで試算に過ぎず、現実に株価指数に組み込まれる制度的な整備は未整備である。しかしながら、伝統的金融市場と暗号資産市場の境界が曖昧化する現在、ビットコインは既存の資産区分に収まりきらない、新たなカテゴリの可能性を示し始めている。過去の常識に縛られたままでは、その変化を見誤る危険がある。
政策リスクと市場心理が左右する現在のビットコイン インフレ回避資産としての真価
WeFiのグロース責任者アグネ・リンゲは、現行の経済環境においてビットコインは引き続きインフレヘッジとして注目されると述べた。特に米国におけるインフレ指標が予想を上回り、経済の不確実性が2008年の金融危機や2020年のパンデミック時を超えるとされる中で、伝統的資産への信頼が揺らぐ局面にある。こうした状況下では、中央集権の枠組みに依存しないビットコインに対する市場の関心が再燃するのは自然な流れといえる。
一方で、ビットコインのリスク資産としての性質も否定できない。トランプ前大統領による新たな関税導入の可能性に市場が過敏に反応しているように、政策的な要因がビットコインの価格に直接影響を与える状況が続いている。リンゲは、仮想通貨市場が投資家のセンチメントをきわめて繊細に追跡しており、株式市場に見られるリスクオフの流れにも影響されやすくなっている点を指摘した。これは、ビットコインが金融の主流に取り込まれた代償として、外部要因への依存度が高まったことを意味する。
その一方で、通貨としての普遍性、ブロックチェーンを基盤とした透明性、国境を越えた送金手段としての利便性は、依然として他の資産にはない強みである。たとえ短期的な急落に見舞われたとしても、グローバル市場においては一定の需要を保ち続けると考えられる。インフレと地政学リスクが重なるこの時代において、ビットコインは「絶対的な安全資産」ではないにせよ、複数の意味での「退避先」として再び脚光を浴びる可能性がある。
Source:BeInCrypto