仮想通貨イーサリアムが新たに導入した「Privacy Pools」は、ユーザーの匿名性を守りつつ、不正資金の混入を排除することを目的とした革新的なプロトコルである。共同創設者ヴィタリック・ブテリンが実際にテストを行い、従来のミキサーサービス「Tornado Cash」が抱えていたマネーロンダリングのリスクへの対抗策として注目されている。

一方で、ETHの投資家心理は依然として慎重であり、市場のセンチメントや取引量の低迷が続く中、価格は2000ドルを下回り、1600ドル台への下落リスクも拭いきれない。

不正資金排除とユーザー匿名性の両立を図るPrivacy Poolsの設計思想

Ethereumが採用したPrivacy Poolsは、ユーザーの取引情報を秘匿しながら、不正資金との明確な線引きを可能にする点で注目を集めている。Oxbowが開発したこのプロトコルは、0.1〜1 ETHの入金上限を設け、段階的な導入と健全な利用状況の監視を前提としている。従来の匿名化ツールであるTornado Cashは、Lazarus Groupによる資金洗浄に悪用された経緯があり、法的・倫理的問題が指摘されてきた。Privacy Poolsはこの反省を踏まえ、コンプライアンスを維持しながら個人のプライバシーを尊重する構造へと進化したといえる。

ヴィタリック・ブテリン自身がテストを行い、Railgunのユーザーとして匿名性保護技術への関心を示している点も、Ethereum内部での技術的裏付けを物語る。匿名性が求められる寄付や報酬のやり取りにおいても、ウォレットアドレスを特定されずに取引を実行できるというのは、Web3領域における実用性の高いアプローチである。金融の透明性と個人のプライバシー保護の両立という相反する価値の調停を試みるこの動きは、仮想通貨業界における持続的な信頼形成に不可欠な布石となる可能性がある。

市場反応は限定的 センチメントと価格は依然として停滞

技術革新として注目を集めたPrivacy Poolsだが、ETH投資家の心理には大きな変化は見られない。Santimentの分析によれば、2025年2月以降、ETHに対する加重センチメントは一貫してネガティブを維持しており、強い買い意欲の兆しは乏しい。3月のソーシャルボリュームも前月比で低下しており、市場の話題性という点でも失速傾向が明確だ。ETH価格は2000ドルを割り込み、需給バランス次第では1600ドル台への下落リスクも意識される状況にある。

こうした反応は、単なる市場の冷え込みにとどまらず、投資家が技術面よりもマクロ経済や規制リスクに神経を尖らせている現実を示唆している。たとえプロトコル設計に革新性があっても、それが即座に価格やセンチメントに反映される保証はない。特にミキサー系技術は、過去の事例が持つ負のイメージの払拭が難しく、市場に対する説得力を持つには時間を要する。Privacy Poolsは、テクノロジーとしての有用性と社会的な正当性の間で、長期的な信頼構築を迫られている段階にあるといえる。

Source:AMBCrypto