ハンセン指数が年初来15.25%上昇するなど中国・香港市場が堅調さを示す一方で、米中貿易摩擦の激化と若年層の高失業率が経済回復の足かせとなっている。
4月2日からの米国による自動車関税発動を皮切りに、相互の報復関税が相次ぐ見通しで、中国企業の需要急減が懸念される。特にハイテク・自動車分野では第三国経由の回避も困難となり、企業業績への影響は避けられない情勢である。
一方で中国政府の景気刺激策への期待が市場の下支えとなっているが、2月の失業率上昇や投資意欲の低下が今後の成長シナリオに影を落とす。
米中関税応酬の波紋 自動車・ハイテク産業に広がる打撃

米国による4月2日からの自動車関税発動は、中国企業にとって決定的な転機となり得る。これまで前倒し需要によって一時的に支えられていた輸出は、報復関税の応酬によって急速に縮小する公算が高い。BCAのピーター・ベレジン氏が指摘した「前倒し効果」は今後失速が避けられず、輸出主導型の成長モデルに深刻な歪みをもたらす恐れがある。
特に中国の自動車メーカーやハイテク企業は、メキシコなど第三国経由による関税回避が難しくなっており、直接的な打撃を受ける立場にある。これにより、企業の収益減少が今後の決算を通じて明確化することが予想される。ただし、この影響が直近の貿易統計に顕在化するには一定のタイムラグがあるとみられるため、短期的には市場の過度な楽観が形成される可能性もある。
米中貿易戦争が激化すれば、地政学的リスクが株式市場にも波及することは避けられず、現在のハンセン指数やCSI300の上昇が一時的なものである可能性は否定できない。中国市場に対する投資姿勢には慎重な見極めが求められる局面にある。
若年層失業率の上昇が示す構造的課題 景気刺激策の限界とは
中国国家統計局のデータによると、2024年2月の全国失業率は前月比0.3ポイント上昇し5.4%となり、特に若年層においては16.9%という高水準に達した。これは単なる景気循環による一時的な現象ではなく、構造的な労働市場の脆弱性を示している。景気刺激策の即効性が乏しいことは、こうした雇用情勢の悪化が裏付けているといえる。
北京は内需拡大を促す政策を打ち出しているが、雇用創出の鈍化が家計の消費マインドを冷え込ませ、景気回復の循環を阻害している。特に若年層の失業は社会的不安の温床にもなりかねず、中長期的に消費主導型経済への転換を目指す中国にとって大きな障壁となっている。
企業が新規採用を控える背景には、関税リスクによる収益見通しの不透明さがあり、これが投資意欲や雇用拡大の足を引っ張っている。株式市場の表面的な回復とは裏腹に、実体経済には深い懸念が根を張っており、今後の経済運営には抜本的な対応が迫られるだろう。
Source:FX Empire