トランプ前大統領は4月2日を「解放の日」と称し、輸入品に対する大規模な新関税の発表を予定している。ゴールドマン・サックスはこれを受け、米国が今後1年以内に景気後退に陥る確率を20%から35%に引き上げた。

専門家らは、企業のコスト上昇と消費者支出の鈍化が重なれば、景気後退は現実味を帯びると警鐘を鳴らす。すでに消費者信頼感は2021年以来の低水準に下落し、株式市場も不安定な動きを見せている。政策の不確実性により企業投資が冷え込めば、堅調だった雇用や経済成長にも影響が及ぶ可能性がある。懸念されるのは、関税が米国内の物価高と混乱をさらに加速させる契機となることだ。

4月2日の新関税発表が招く消費低迷と景気後退リスク

ドナルド・トランプ前大統領が「解放の日」と位置づける4月2日、広範囲な新関税の発表が予定されている。これにより米国経済に及ぼす悪影響が懸念され、ゴールドマン・サックスは景気後退の確率を35%に引き上げた。ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は今回の関税が「景気後退の火種」と警告しており、関税による物価上昇が企業活動と消費行動の両面に打撃を与える構図が浮かぶ。

アメリカン大学の経済学者カラ・レイノルズ氏は、企業と消費者の支出が同時に冷え込むことで景気が転落する可能性に言及する。特に消費支出は米国GDPの約3分の2を占めており、その動向が景気を左右する。すでに3月には消費者信頼感が2021年以来の低水準に落ち込み、懸念は現実味を帯びている。

現時点で経済指標は底堅さを見せているものの、価格高騰への不安と不確実性が続けば、消費行動にブレーキがかかるのは避けがたい。今回の関税発表が市場や家計に与える心理的影響は、実体経済以上に深刻な後退の引き金となるおそれがある。

政策の不透明性が企業投資と雇用の足かせに

関税強化の対象や期間が不明瞭であることが、市場の混乱を助長している。トランプ氏は自動車や鉄鋼、アルミニウムなど一部業種への関税をすでに公表しているが、今後は「すべての国」を対象とする可能性を示唆しており、企業は長期的な投資判断を下しにくい状況に置かれている。

アイオワ大学の経済学者アン・ヴィラミル氏は、「企業の投資が鈍れば、それが景気後退を引き起こす」と語っている。関税によって輸入原材料のコストが上昇すれば、製造業を中心に生産活動が制限され、設備投資や雇用の抑制につながる。結果として、これまで堅調だった雇用市場にも徐々に陰りが差す可能性がある。

経済の基盤である企業活動は、政策の予見可能性を前提として動く。唐突な通商政策の転換は、その前提を崩し、企業心理を冷え込ませる。たとえ現時点で失業率が低く、インフレもピークを過ぎているとはいえ、不確実性が拡大すれば市場の自律的な成長力にも限界が見える。経済政策の不透明性は、それ自体が成長のブレーキとして機能する。

Source:abcnews