電気自動車大手テスラが2025年第1四半期に発表した納車台数は33万6,681台となり、アナリスト予想を約3万台下回り、過去2年以上で最悪の水準となった。前年同期比では13%の減少を記録しており、これを受けてTSLA株は年初来高値から約36%の下落に直面している。
Wedbushのアナリスト、ダン・アイヴス氏は今回の決算を「壊滅的」と形容し、マスクCEOの政治関与が企業評判に悪影響を及ぼしていると指摘した。一方で、Deepwaterのジーン・マンスター氏は、AIやロボタクシーの展望が将来的に株価回復の起爆剤となる可能性を強調している。
複数のアナリストは短期的な課題を認めつつも、2026年に向けた収益成長の再加速を視野に入れ、TSLA株の中長期的な上昇余地はなお大きいとみている。
四半期納車数33万台の失速が示す構造的課題

テスラが2025年第1四半期に報告した納車台数は33万6,681台であり、前年同期比で13%の減少、かつアナリスト予想の36万5,000台を大きく下回った。この数字は、2022年以降で最も低調な水準であり、短期的な需要鈍化が明確に浮き彫りとなった形だ。納車の落ち込みは中国市場における競争激化や価格競争の激しさとも無関係ではなく、グローバルな需要の減速が反映されている可能性がある。
さらに、イーロン・マスクCEOによる政治的発言やX(旧Twitter)での行動が企業ブランドに影響を及ぼしているとの見方もある。Wedbushのアナリストであるダン・アイヴス氏は、今回の決算について「すべての指標において壊滅的」と評し、経営者の姿勢が業績と株価に連動している現状を厳しく指摘した。
販売台数の減少は一時的な要因のみによるものではなく、製品ポートフォリオの刷新や新興国市場での戦略再構築といった根本的な施策が求められていることを示唆している。電動車市場の成長鈍化と既存ラインナップへの飽和感が相まって、単なる価格戦略だけでは今後の回復を支えるには不十分となるだろう。
株価36%下落の裏にあるAIとロボタクシーへの期待
TSLA株は年初来高値から約36%下落しているが、Deepwaterのジーン・マンスター氏は2026年に向けた収益成長を根拠に強気姿勢を崩していない。マンスター氏は特にAI活用の柱であるヒューマノイドロボット「Optimus」やロボタクシー事業への投資が、将来的にテスラの価値を再評価させると述べている。短期的な納車不振に対して、長期視点から成長エンジンとしてのAI技術に注目が集まっている。
また、マンスター氏はトランプ前大統領が再登場した場合に想定される25%の輸入関税についても、テスラはそれに対応可能な体制を構築済みであると指摘している。これにより、政治的リスクに対する耐性も評価材料の一つとなっている。株価の下落が必ずしも企業の本質的価値を表していないとの評価が、アナリストの間では支配的である。
もっとも、AI事業が商業的にどのタイミングで収益化するかは依然として不透明であり、株式市場における期待とのギャップが今後の株価形成に影響を及ぼす余地も残されている。成長分野へのシフトが評価される一方で、それが業績に具体的に反映されるには時間がかかるとの前提が必要である。
Source:Barchart