Appleは、USB-C対応のAirPods Maxに対し、ロスレスオーディオと超低遅延機能を搭載したファームウェア「7E101」の提供を開始した。リリース直前に一時的な遅延が発生し、公式サポートページに「近日公開」の表記が追加される事態となったが、翌日には修正が完了した。
今回のアップデートは、長らく新機能の追加が停滞していたAirPods Maxにとって大きな進展であり、Proモデルとの差を埋める狙いがうかがえる。また、同時に発表された39ドルのUSB-C to 3.5mmケーブルは、旧来の有線接続を可能にし、ユーザーの選択肢を広げる重要なアクセサリと位置づけられる。
一方で、Apple製イヤホンのアップデートプロセスは依然として自動化に依存しており、ユーザーによる手動更新が不可能な状況は競合他社との差異を際立たせている。iOS 19での改善が望まれるところだ。
ロスレス対応に踏み出したAirPods Max アップデート遅延の背景と展開

Appleは2024年4月2日、USB-C対応のAirPods Max向けにファームウェア「7E101」を正式リリースし、ロスレスオーディオおよび超低遅延のサポートを実現した。これは、先に発表されたiOS 18.4およびmacOS Sequoia 15.4と並行して提供される予定だったが、直前で「近日公開」という一文が公式サポートサイトに追加され、異例の遅延が明らかとなった。
MacRumorsおよび9to5Macの両メディアはこの事態を報じたが、Apple側から遅延の理由に関する公式な説明は示されていない。これまでAirPods Maxは、AirPods Proシリーズに比べて新機能の投入が限定的であり、一部ユーザーからは放置されているとの不満も聞かれていた。今回のアップデートによって、Proとの差を埋める動きがようやく本格化した形となる。
とりわけ、オーバーイヤー型の利点を活かせる高音質・低遅延機能の実装は、音楽鑑賞や動画視聴における没入感を大きく高める可能性がある。なお、新機能を利用するにはファームウェアの更新が必須だが、AppleのAirPodsシリーズではユーザーによる手動アップデート手段が提供されておらず、これまで通りバックグラウンドで自動的に適用される形式に留まっている。
こうした運用方法は、テクノロジーに精通した層にとっては不透明であると映り、改善を求める声も根強い。
アップデートと周辺機器の整備 USB-Cケーブルが示すAppleの狙い
ファームウェア「7E101」のリリースと並行して、AppleはAirPods Max向けに新たなUSB-C to 3.5mmオーディオケーブルも発表した。このケーブルは39ドルと比較的高価ながら、ファームウェアのバージョンに依存せず利用可能であり、製品購入後すぐに従来のアナログデバイスと接続できる実用性を備えている。
ロスレス再生への期待が高まる中、有線接続の選択肢を提供する点は、Appleがプロユースやオーディオ愛好家のニーズに目を向け始めた兆しと見ることもできる。Appleのオーディオ戦略においては、これまでワイヤレス機能を中心とした設計が主流だったが、このケーブルの投入はその一貫性に一石を投じる動きでもある。
Bluetooth伝送による音質制限に対する認識が高まりつつある中、ロスレス音源の本領を引き出すためには有線接続が依然として必要不可欠とされる場面が多い。そうした市場の潮流を見据えた上での製品展開である可能性も否定できない。
一方で、このUSB-C to 3.5mmケーブルの価格設定はユーザー間で賛否を呼ぶ要素となるかもしれない。アクセサリとしての品質が評価されているとはいえ、サードパーティ製品との価格差は大きく、Appleブランドの提供価値がどこにあるかが改めて問われることになる。
ロスレス対応を掲げる姿勢が真にユーザー中心のものであるかどうかは、今後のアップデート方針や周辺機器の展開によって明らかになるだろう。
Source:The Verge