2025年に入りBroadcom株は年初来で26%下落し、AI投資への懸念や市場全体の不透明感が株価を押し下げた。特にナスダック100指数の7%超の下落は、半導体株全体に大きな影響を与えている。
しかし、BroadcomはAI関連売上で前年同期比77%増、EBITDAは41%増、EPSも市場予想を上回るなど、第1四半期の業績は依然として堅調。VMware買収効果も売上成長に貢献しており、年間売上600億ドルが見込まれている。
バリュエーションは依然として高水準だが、アナリスト33人中30人が「強く買い」と評価。AIとクラウド市場の拡大を追い風に、同社の成長余地はなお大きいとの見方が根強い。
AI分野での売上急拡大とソフトウェア収益の両輪が示す成長力

Broadcomは2025年第1四半期においてAI関連売上を41億ドルとし、前年同期比で77%という高い成長を達成した。さらに第2四半期には44億ドルの売上が見込まれており、AIチップ市場における同社のプレゼンスが着実に高まっている。
これと並行して、VMwareの買収によって得たインフラソフトウェア部門でも大幅な業績拡大が確認されており、670億ドルの売上と前年比47%増を記録。特筆すべきは、上位1万顧客のうち7割がVMware Cloud Foundationを導入している点であり、エンタープライズ市場での浸透度が高いことを示している。
AIとクラウドソリューションという成長分野での収益源を確保していることは、同社の財務の安定性と将来性に対する強い支えとなる。ただし、これらの好材料が株価に反映されきっていない背景には、市場全体の地合い悪化と、AI投資に対する過剰な期待とのギャップが存在していると考えられる。短期的な調整局面は続く可能性があるが、事業構造の多角化と売上の質の高さは、中長期的な投資判断において重要な要素となるだろう。
バリュエーションの高さとアナリスト評価の乖離が示唆するリスク
BroadcomのトレーリングP/S比は15.3倍、フォワードP/S比も12.7倍と、いずれも業界平均を大きく上回る数値に達している。これらはセクター中央値と比較してそれぞれ418%、386%高く、売上に対する評価がいかに割高であるかが明白である。通常、このような高バリュエーションは成長余地や競争優位性によって正当化されるものの、市場がリスク回避的な姿勢を強める中では下押し圧力として作用しやすい。
それにもかかわらず、ウォール街のアナリスト33人のうち30人が「強く買い」と評価し、平均目標株価は現水準から約50%の上昇余地があるとされている。この評価と市場実態との乖離は、投資判断において慎重さが求められる要因となる。
アナリストが示す成長シナリオは、中長期の事業拡大やAI市場の拡大に根拠を置いているが、金利動向や政策リスクといった外部要因が短期的に評価を変動させるリスクも看過できない。高収益企業としてのBroadcomの実力を認識しつつも、現水準での新規投資には綿密なバリュエーション分析が不可欠である。
Source:Barchart