AppleがiOS 18.4で密かに導入したCarPlayの新レイアウトでは、ホーム画面のアイコンが従来の2列から3列に拡張されているが、この変更は全ユーザーが享受できるわけではない。画面サイズが12インチ以上のデバイスでのみ表示される可能性が高く、Appleからの正式な案内はないため、実際に車両と接続して確認する以外に方法はない。

一方、GoogleはAndroid Autoの大規模アップデートを進行中で、ゲームや動画アプリの導入を含む機能拡充が急速に進んでいる。AppleのCarPlay改善への消極姿勢が続けば、車載インフォテインメント領域での主導権がAndroid側に傾く可能性も否定できない。

iOS 18.4のCarPlayアップデートに見る非公開仕様の実態

AppleはiOS 18.4において、CarPlayのホーム画面レイアウトを従来の2列から3列に拡張した。しかし、この仕様変更はリリースノートに明記されておらず、ユーザーには事前に告知されていない。そのため、アップデート後に3列表示が適用されるかどうかは、実際に車両とiPhoneを接続して初めて確認可能である。

また、この新レイアウトはすべてのユーザーに適用されるわけではなく、Appleは動作条件についても一切明示していない。AutoevolutionのBogdan Popa氏によれば、少なくとも12インチ以上のスクリーンを搭載した車載システムでのみ機能している可能性が高いという。これにより、一見しただけでは恩恵の有無が判別できない仕様となっている。

AppleがCarPlayの改善をリリースノートに含めず、実装対象や要件を公開しない姿勢は、透明性を重視するユーザーにとっては不信感を抱かせる要因になり得る。車両の対応状況に個体差があるため、ユーザー側が検証する以外に手段がないという構図は、利便性と情報開示のバランスにおける課題を示している。

Android Autoの進化とAppleの静観姿勢が示す車載OS戦略の差

Android Autoは、Googleによる継続的な機能拡張により、車内エンターテインメントの主軸を担う存在へと進化を遂げている。フル機能のAndroidゲーム導入に加え、停車中にはYouTube視聴やブラウジングも可能になる見通しであり、利用者の体験価値を大きく引き上げている。

これに対し、AppleはCarPlayに関して明確な進化戦略を公にしておらず、iOSのアップデートに付随する形で限定的な改善を続けているに過ぎない。今回のiOS 18.4における3列レイアウト追加もその一例であり、機能は搭載されたが正式発表がないまま展開されている。

この差は、車載OSの将来像における両社のスタンスの違いを浮き彫りにしている。Appleは安全性やデザインの一貫性を重視し、段階的かつ選別的な機能導入に傾く傾向があるが、ユーザーの期待に即応して新機能を次々と投入するGoogleの攻勢と比較すると、そのスピード感は対照的である。

車載インフォテインメント分野は今後、ナビゲーションや音楽再生の域を超え、車内におけるデジタル体験の中心に位置づけられることが予想される。その文脈においては、Appleの静観姿勢が長期的に競争力を損なう可能性があるとの懸念も払拭できない。今後のiOS大型アップデートでの動向が注視される。

Source:Autoevolution