トランプ米大統領が導入したアルミニウム輸入への25%関税が、PCハードウェア市場に深刻な影響を及ぼしている。特にグラフィックカードやデスクトップPCケースといったアルミ依存度の高い製品においては、製造・流通コストの上昇が顕在化しつつある。
カスタムPCメーカーFalcon NorthwestやSilverStone Technologyは、既存の20%中国製品関税に加えた打撃を報告。また、台湾Asusはコスト高を懸念し、中国以外への生産拠点移転を進めている。こうした動きは自作PC市場やデータセンター需要にも波紋を広げる可能性がある。
さらに、アルミ含有量の不透明さから、通関業者が製品全体に関税を適用する事例もあり、価格転嫁は避けられない情勢となっている。今回の関税措置は、貿易政策がテクノロジー市場に及ぼす影響の典型といえる。
アルミ依存度の高いPC部品に直撃する25%関税の波紋

トランプ政権による25%のアルミニウム関税は、PCハードウェア業界におけるコスト構造を根底から揺るがせている。GPUやデスクトップPCケースといった製品は、外装や内部フレームに高品質アルミを多用しており、素材価格の上昇が即座に製造原価に跳ね返る構造にある。
特にSilverStone TechnologyやFalcon Northwestといった業界関係者は、従来の20%の対中関税に加えられた負担を明確に示しており、完成品の価格にも圧力が及び始めている。
通関の現場でも混乱が広がっている。GPUに含まれるアルミ含有量が明確でない場合、税関当局やUPS、FedExのような通関業者は製品全体の価値に基づいて関税を課す傾向にあり、これが企業と消費者双方のコスト負担を増幅させる。Reddit上ではデータセンター向けGPU輸入業者による実例が匿名で報告され、現場の困惑とともに、関税制度の運用面での課題が露呈している。
Asusは製造拠点を中国以外に移すと発表したが、その新設コストや移転期間を考慮すれば、短期的な価格上昇は不可避と見られる。部品単体の輸送コストと税負担に加え、サプライチェーン再構築による長期的コストの増大も、グローバルメーカーに重くのしかかる構図が浮き彫りとなった。
自作PC市場と製造業者の構造変化を促す貿易政策の副作用
今回のアルミ関税は単なる価格上昇にとどまらず、PCハードウェア市場全体の構造に変化を迫る契機となる可能性がある。特に価格に敏感な自作PC市場では、ユーザーの購買行動に即座に影響が現れると考えられ、ローエンドからミドルレンジ帯の製品群が真っ先に影響を受けることが予想される。高性能GPUの価格上昇は、ゲーミングPCや生成AI用途の構築計画を持つ層の足かせともなりうる。
一方、メーカー側では、これまで中国に依存していた製造拠点や資材調達ルートを再構成する動きが加速する。Asusのように生産拠点を多国籍化する動きが広がれば、グローバルサプライチェーンの再編が現実味を帯びてくる。ただし、生産地の変更には時間と投資を要し、当面は価格転嫁を余儀なくされるだろう。
また、完成品だけでなく部品単位にも関税が及ぶことで、これまで分業的に成立していた製造体制にも再評価の動きが出てくる。一部メーカーでは、金属素材の代替や樹脂化を検討する動きもあるとされ、貿易政策が素材選定や製品設計にまで影響を及ぼす段階に入りつつある。政策決定のインパクトがテクノロジーの未来像にまで波及し始めたことは、今後の注視が必要である。
Source:Tom’s Hardware