OpenAIが開発中の高性能AIモデル「o3」の上位構成「o3 high」が、1つのタスクを処理するのに最大3万ドルを要する可能性があるとの試算を、Arc Prize Foundationが発表した。これは従来の見積もり3,000ドルから大幅に上方修正されたものであり、計算リソースの膨大さを反映している。

同財団は、OpenAIが提供する現行の最上位モデル「o1-pro」の価格帯がo3の実コストを示す手がかりになるとしつつ、正式な価格発表がない中で不確実性が依然残ると強調。AIによる業務代替が期待される一方で、効率性や費用対効果に関する根本的な問いが再浮上している。

また、OpenAIが月額2万ドルの企業向けプランを検討しているとの報道もあり、AI導入の経済的負担に対する現実的な見極めが今後の議論を左右しそうだ。

ARC-AGIで判明した「o3 high」の高コスト構造と性能の限界

OpenAIのAIモデル「o3 high」は、ARC-AGIベンチマークで高いスコアを記録したが、その裏には極めて高い計算コストが存在する。Arc Prize Foundationの分析によると、同モデルは同じタスクを解くために「o3 low」の172倍もの計算量を必要とし、1タスクあたり最大3万ドルに達する可能性が示された。これは初期見積もりの約10倍であり、AIモデルが持つスケーラビリティの問題を浮き彫りにしている。

特に注目すべきは、o3 highが最高スコアを達成するまでに1,024回もの試行を要した点である。これは性能の高さを示すと同時に、現段階での効率性には依然課題が残ることを示唆する。また、計算資源の集中的投入がなければ結果が得られないという点で、特定の企業や機関にとっては導入の障壁となることは避けられない。

AI技術が急速に進化する中、その計算資源の負荷とコスト構造に関する現実的な見通しを持たねばならない。「高性能」の定義は、単にベンチマークスコアの高さにとどまらず、持続可能性や費用対効果を含む多面的な評価が求められている。

価格未発表の「o3」に企業が抱く不確実性とOpenAIの事業戦略

OpenAIは「o3」シリーズの価格設定を依然として公表しておらず、Arc Prize Foundationの試算や「o1-pro」との比較をもってしても、企業にとっては導入判断の材料が不十分な状況にある。特に「o3 high」のような高性能モデルが実際に商用化された場合、その価格が現在の最上位モデルである「o1-pro」を超えることは避けがたいとされる。

一方で、OpenAIが3月に検討していると報じられた月額最大2万ドルのAIエージェント提供プランは、ハイエンドモデルの収益化を意識した戦略と見られる。企業向けの用途において、専用のAIエージェントが従業員の代替となるほどの性能を持てば、コストに対する許容度も相対的に高まる。ただし、必ずしもすべての業務において費用対効果が見合うとは限らず、導入には緻密な試算が求められる。

トビー・オード氏の指摘するように、「試行の多さ」が成果の前提となるモデルは、理論上の能力と実運用での生産性の間にギャップを抱える可能性がある。今後のAI市場では、単なる性能競争を超えて、運用時の効率性やコスト構造に優れたモデルが選別されていく段階に入ったと見るべきだろう。

Source:TechCrunch