MediaTekは、AI処理性能に特化した新型プロセッサ「Kompanio Ultra」を発表した。これはフラッグシップ級チップ「Dimensity 9400」をベースにChromebook向けへ最適化したもので、AI専用シリコン「NPU 890」により最大50 TOPSの処理性能を誇る。AI性能ではIntel Core Ultra 5 125Uの5倍に達するとされており、Googleの生成AI「Gemini」にも正式対応する。

GPUは11コア構成のImmortalis-G925を搭載し、最大40%の高速化を達成。バッテリー駆動時間は最大20時間とされ、省電力性にも優れる。Wi-Fi 7や4K外部ディスプレイ2台のサポートなど周辺機能も強化されており、同チップ搭載Chromebookは今後数ヶ月以内に市場投入される見通しだ。

Chromebookに最適化されたKompanio Ultraの構成と性能

MediaTekが発表した「Kompanio Ultra」は、モバイル向けのDimensity 9400をベースにしながらも、Chromebook専用として構成を最適化したプロセッサである。CPUには3.62GHzで動作するCortex-X925を中核に据え、Cortex-X4とCortex-A720を組み合わせた計8コア構成を採用。L3キャッシュは12MB、さらにシステムレベルのキャッシュとして10MBを確保しており、高負荷時でも安定した処理が可能とされる。

また、AI処理の要となる「NPU 890」シリコンは、50 TOPSという高い演算性能を発揮し、MediaTekはこれがIntelの「Core Ultra 5 125U(Meteor Lake)」と比較してAI性能で5倍に達すると主張する。

GPUには「Immortalis-G925」を搭載し、コア数は11とDimensityより1つ少ないものの、GFXBenchにおけるベンチマークでは最大40%の性能向上が報告された。レイトレーシングにも対応するが、現時点でChrome OS側の機能対応は未定となっている。

さらに、消費電力はIntel製同等品の半分の7Wに抑えつつ、シングルスレッド性能は最大18%、マルチスレッド性能は40%の向上を示すとされ、バッテリー駆動時間は最大20時間に及ぶ。Wi-Fi 7対応や外部4Kディスプレイ2台出力、4K/60fpsの映像処理など、接続性とマルチメディア性能も強化されており、Arm系チップとしての完成度は高い。

Geminiとの統合がChromebookに与える影響

Googleの生成AI「Gemini」との統合を前提に設計されたKompanio Ultraは、今後のChromebookに新たな価値をもたらす可能性を秘めている。

すでにChromebook Plusシリーズでは、「Help Me Write」やリアルタイム翻訳、話者識別付きレコーダーなどの高度なAI機能が実装されており、今後はさらに多機能化が進む見込みだ。MediaTekの発表ではGemini対応が正式に確認されており、来月のGoogleイベントでその全容が明かされるとされている。

現行のChromebookでも簡易的なGemini利用が可能であるものの、本格的な生成AI機能の活用は専用チップによる計算資源の後押しが不可欠である。Kompanio UltraはNPUによる高速なAI演算処理を実現することで、クラウド依存度の高い既存のAIアシスタントと一線を画す存在となり得る。

ただし、Chrome OSが現時点でBluetooth 6.0やレイトレーシングなどのハードウェア機能に対応していない点は、足かせになりうる。今後のソフトウェア側の進化が、ハードウェアのポテンシャルをいかに引き出すかが注視される。MediaTekによるアプローチは、AIによるPCの価値再定義という大きな潮流の一端を担う可能性がある。

Source:Android Authority