テスラが2025年1~3月期に報告した納車台数は336,681台と、前年同期比で13%の急減となり、2022年以来最も低調な四半期となった。KalshiやBloombergの予測を大きく下回る結果は、株価が36%下落した後の市場に追い打ちをかけた格好である。

納車減少の背景には、モデルYの生産ライン変更による全4工場での停止に加え、欧州での評判低下やドイツでの抗議活動など、政治的影響も重なった。実際に欧州15カ国でのEV市場シェアは9.3%まで落ち込み、ドイツでは前年の16%から4%に激減した。

一方、中国市場では3月の販売が前月比で回復したものの、前年同月比では11.5%の減少にとどまり、BYDなどとの競争激化が依然として業績の重石となっている。

欧州市場での急失速が露呈したテスラの脆弱性

2025年第1四半期、テスラは欧州15カ国におけるEV市場シェアを前年同期の17.9%から9.3%へと半減させた。中でもドイツでは、シェアがわずか4%にまで落ち込み、前年の16%からの急落が目を引く。この失速は単なる販売不振ではなく、企業イメージの揺らぎと、政治的逆風が密接に絡んだ構造的な問題を映し出している。特に、イーロン・マスク氏の極右団体との関係を巡る抗議活動が、ブランド価値に重大な影響を与えた可能性がある。

フランスとスウェーデンでも同様に、販売シェアが3か月連続で下落し、2021年以来最も低調な四半期を記録している。これは欧州の消費者がテスラ製品の性能や価格に対して懐疑的になっているというよりも、むしろ企業の社会的責任や経営者の政治的スタンスに対する評価が変化していることを示唆する。製品そのものの競争力に加え、企業の倫理的立ち位置が購買行動に直結しつつある現代の潮流において、テスラの欧州戦略は再考を迫られている。

生産停止と予測との乖離が投資家心理に打撃

テスラが2025年第1四半期に納車した台数は336,681台にとどまり、Kalshiの予測値である356,000台、Bloombergのコンセンサスである390,342台をいずれも大きく下回った。モデルYの生産ライン改修に伴う工場停止は説明可能な要因であるが、それを考慮してもこれほどの乖離は想定外であり、投資家の信認を損ねるには十分な材料であった。発表直後の株価は一時2%以上下落し、その後持ち直したものの、年初からの累計で36%もの下落が記録されている。

このような予測との乖離は、テスラの業績見通しに対する市場の信頼性を大きく揺るがす。企業が示す供給能力や販売戦略に対して、市場はもはやかつてのような無条件の期待を抱いてはいない。過去の実績だけでは評価されず、精緻な供給予測と着実な実行力が要求される中で、テスラは説明責任の重さと向き合う局面を迎えている。納車台数のギャップは単なる数値の問題ではなく、企業経営の透明性と市場との対話の質を問うシグナルとも言える。

中国市場の回復と競争激化が映すテスラの課題

中国における3月の販売台数は78,828台と、2月の30,688台から大幅に持ち直した。これは春節の影響による一時的な減速からの回復と見られるが、前年同月比では11.5%の減少にとどまっている。販売が回復基調にあるとはいえ、前年の水準を下回ったという事実は、テスラの中国市場での立ち位置が依然として不安定であることを浮き彫りにする。特にBYDを筆頭とした中国メーカーの攻勢が続く中で、価格面・製品投入スピードともに劣後している印象は否めない。

中国市場はテスラにとって最大規模の海外市場であると同時に、最も競争が熾烈な地域でもある。政府の補助政策や消費者のEVリテラシーが進む中、ローカル企業の機動力と地場適応力が市場を席巻しつつある状況で、テスラの一貫した価格戦略とブランドポジションの見直しが急務とされる。回復した販売台数の背後にある構造的な競争圧力に目を向けなければ、短期的な回復は長続きしない可能性がある。

Source:Finbold