2025年、米国市場がインフレ高止まりや政策不透明感に揺れる中、欧州を中心とした国際株が鮮明な回復を見せている。Vanguard FTSE Europe ETF(VGK)は年初来で約11%上昇し、米主要インデックスが軒並み下落するなかで際立った成績を残した。

同ETFはSAPやASML、ノボ・ノルディスクといった欧州の有力企業に分散投資を行い、低インフレと政策金利引き下げといったマクロ環境の追い風を受けている。低コストで広範な欧州株へのエクスポージャーを提供する点でも投資家の支持を集めている。

ただし、欧米間の貿易摩擦や地政学的リスクは依然くすぶっており、関税政策の変動が今後のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性もある。短期的な優位性が長期的な投資判断に結びつくかどうかが問われている。

欧州株式の復調とVGKの構成銘柄が示す経済構造の変化

Vanguard FTSE Europe ETF(VGK)が年初来で11%の上昇を記録し、米国株式市場の不調を尻目に際立ったパフォーマンスを見せている。FTSE Developed Europe All Cap IndexをベンチマークとするVGKは、欧州先進国市場全体に幅広く投資しており、保有銘柄数は1,263に上る。

なかでも、SAP SE(ドイツ)、ASMLホールディングス(オランダ)、ノボ・ノルディスク(デンマーク)といった企業群が高い存在感を放っている。これらはテクノロジー、半導体、製薬といった成長産業を代表し、旧来型の製造業中心という欧州株の印象を刷新している。

欧州諸国がインフレ率を2.2%まで低下させたこと、また政策金利を2.5%まで引き下げたことは、これら企業の成長戦略にとって追い風となっている。さらに、財政出動と防衛支出の拡大により内需が押し上げられた結果、外部要因への依存度が相対的に低下したことも市場の安定に寄与した。

もっとも、VGKの構成銘柄は米国市場との競争力の差を埋めるにはまだ道半ばとの評価もある。過去10年間の年率平均リターンは5.95%、設定来の平均では5.33%にとどまり、継続的な成長には地政学リスクの緩和と域内政策の一貫性が求められる。

米国市場の調整局面が示唆する国際分散投資の重要性

2025年、S&P500は年初来で4%以上の下落に転じ、米国の主要3指数すべてがマイナス圏で推移している。これは、インフレの高止まりや新政権下での経済不確実性、関税政策の不透明感といった複合的な要因に起因する。とりわけ、地政学的緊張の高まりやボラティリティの増大は、米国株の相対的な魅力を大きく損なっている状況だ。

こうした局面で注目を集めているのが、米国外への資産ローテーションである。投資家は成長と安定、そして分散効果を求め、欧州をはじめとする国際株式に目を向けている。VGKのような欧州株式ETFの台頭は、国際分散投資の有効性を改めて市場に印象づける結果となっている。

ただし、欧州を取り巻く環境も決して一枚岩ではない。たとえば、EUは今週中にも米国からの輸入車に25%の関税を課される見込みであり、その報復措置が域内のインフレや輸出企業に悪影響を及ぼすリスクは拭えない。短期的なパフォーマンスに惑わされず、地政学的変数も含めた精緻なリスク評価が今後の投資判断を左右することになる。

Source:Finbold