米テキサス州第34選挙区選出の下院議員ヴィセンテ・ゴンザレス氏が、3月17日に最大25万ドル相当のテスラ株を売却していたことが、3月末に提出された議会報告書で明らかとなった。
売却時のテスラ株価は1株238.01ドル。

複数回にわたる購入履歴を踏まえると、同議員は損失を出していた可能性が高く、保有株式はすべて処分された。
注目すべきは、同氏が金融サービス委員会および資本市場小委員会に所属している点で、マスク氏の別会社SpaceXの拠点がある選挙区との地理的関係性も含め、インサイダー情報への接触可能性が完全には排除できない状況となっている。


テスラ株の連続取引履歴と損益構造に見る議員の判断

ヴィセンテ・ゴンザレス下院議員は、2022年5月と2025年3月に合計3回にわたりテスラ株を取得しており、直近では3月17日に全株を売却した。購入価格は最初が253ドル、次に272ドルと上昇基調にある中で、売却時の株価は238.01ドルであり、少なくとも名目上は損失を抱えていたと見られる。売却額は100,001ドルから250,000ドルの範囲にとどまり、全保有分を処分したことから、資産整理やポートフォリオの見直しが背景にあった可能性も否定できない。

注目されるのは、この取引がテスラ株の年初来の下落局面と重なっている点である。1月には同社の車両出荷台数が前年同月比で減少し、加えてCEOイーロン・マスク氏への批判が高まり、社会的反発を受ける中で投資家心理が冷え込んでいた。また、主要競合であるBYDが新たな急速充電システムを発表し、テスラの技術的優位性にも揺らぎが生じていた。こうした市場環境の悪化が、売却判断を促した一因となった可能性がある。

一方で、ゴンザレス氏が所属する委員会と株式取引との関係が注視されている。短期的な価格変動への対応であれば、保有株の段階的な整理が妥当だが、全量売却という大胆な動きは、テスラ株の今後に対する明確な警戒を反映したものとも受け取られ得る。その背景には、より高度な情報への接触機会が影響していたかどうかが問われることとなる。

委員会所属と選挙区事情が生む情報感度への視線

ゴンザレス議員は現在、米下院の金融サービス委員会および資本市場小委員会に所属している。この立場は、証券市場や上場企業に関する規制情報に関わる機会を提供するものであり、議員個人が市場環境に対して通常よりも早く、また詳細な情報に接触する可能性がある。

さらに、同氏の選挙区であるテキサス州第34選挙区には、イーロン・マスク氏の宇宙開発企業SpaceXの拠点「スターベース」が存在しており、関連する地域動向に対する関心も高いと推察される。

このような地理的・制度的な背景から、議員が保有する企業株式の動きが市場に与える示唆は小さくない。実際、同様の売却行動は他の議員の間でも過去に幾度となく見られてきたが、今回は関係性の濃さからより強い注目を集めている。3月の取引が開示されたことで、市場関係者や規制当局の一部では、この動きが情報優位性を背景とした判断であった可能性を慎重に分析しようとする姿勢が見られる。

もちろん、報告された範囲では本件に違法性を示す証拠は存在しない。しかしながら、1年ぶりの高水準に達している「テスラ株を売却」という検索数や、同社幹部による株式売却の相次ぐ事例が市場に与える心理的圧力は無視できない。ゴンザレス氏の行動は、こうした一連の流れを象徴する事象として、今後の株主や投資家の動向を占う手がかりとなるかもしれない。

Source:Finbold