2025年第1四半期の米株市場はS&P500とナスダックがそれぞれ4.23%、14%下落と荒れ模様の展開となった。こうした環境下、ウォーレン・バフェットとマイケル・バーリの両巨頭の投資成績に明暗が分かれた。

バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの上位銘柄はAppleが10.34%下落するなど軟調で、ポートフォリオ全体では3.9%のマイナス。一方、バーリは中国テック株に大規模投資を行い、Alibabaの56%上昇などで16.44%のリターンを叩き出した。

中国市場の反発を的確に捉えたバーリの逆張り戦略が市場を凌駕する一方で、バフェットの堅実な大型株集中投資は足元の地合いでは振るわなかった。

バークシャー上位銘柄の不振が響いたバフェットの成績

2025年第1四半期において、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの株式ポートフォリオは3.9%のマイナスを記録した。Apple、American Express、Bank of Americaの3銘柄が下落し、これらが全体のパフォーマンスを大きく押し下げた。特にAppleは10.34%の下落となり、時価ベースでポートフォリオの25%以上を占めていたため、その影響は極めて大きかった。

一方でCoca-Colaが15%、Chevronが16%上昇したが、それでもテック株や金融株の下落分を相殺するには至らなかった。バークシャー全体の株価は17%上昇しS&P500を上回る動きではあったが、株式投資部門単体では市場全体に対して相対的に劣後した格好である。これは、資産全体でのパフォーマンスと個別の投資判断の乖離を浮き彫りにする結果となった。

大型株への集中投資がもたらす安定性とリスクのバランスが、目まぐるしく変動する市場環境では思惑通りに働かない局面もあることが示されたといえる。バフェットの手法が長期的に有効であるとの評価は揺らがないが、短期的な市場の波に対する耐性の限界も改めて意識させられる展開となった。

中国株への大胆な逆張りで躍進したバーリの戦略

マイケル・バーリが率いるScion Asset Managementは、2025年第1四半期に16.44%という顕著なリターンを叩き出した。主因は、Alibaba、JD.com、Baiduといった中国テック株への大規模な投資であり、特にAlibabaは四半期中に56%もの上昇を記録。JD.comも19%、Baiduも8%上昇し、バーリのポートフォリオに寄与した。

加えて、中国のCSI 1000指数は8%、香港のハンセン指数は18.6%上昇しており、バーリの投資先にとって市場全体の地合いも追い風となった。こうした中国市場への強気姿勢は、米国市場の不安定さと対照的な成長期待を見越したものであり、短期的には正解といえる結果となった。

ただし、バーリは一部の保有株をすでに段階的に縮小しており、リスクの再調整にも動いている。これは、上昇の反動や地政学的リスクなどを考慮した慎重なポジション管理とみられる。大胆さと冷静さを併せ持つこの戦略は、変動性の高い相場で成果を出す一つのモデルとして注目に値する。

投資哲学の対比が示す現代市場の構造的転換

ウォーレン・バフェットの長期安定成長を志向する手法と、マイケル・バーリの逆張りかつ短中期を見据えた投資戦略は、2025年の市場構造を映す対照的なアプローチである。バフェットが信奉する大型株重視の方針は、S&P500やナスダックと連動するリスクを内包し、今四半期のように地合いが崩れればパフォーマンスに打撃を受けやすい。

一方、バーリのように市場の逆を突く戦略は、一定の成功を収めたものの、タイミングと流動性リスクがつきまとう。特に中国株は政策要因や規制リスクが高く、短期間で大きく変動する可能性がある。今回の成果が再現性のあるものかどうかは、今後の市場の動向に大きく依存する。

この両者の対比は、伝統的なファンダメンタル重視型と、地政学・マクロ変動を前提とした戦略型の投資スタイルが並存し、かつそれぞれの限界も顕在化しつつある現代市場の断面を浮かび上がらせている。資産運用における一極集中のリスクと、分散と柔軟性の価値が改めて問われている。

Source:Finbold