Windows 11への移行を強く推進してきたMicrosoftが、今度は永続ライセンス版OfficeからMicrosoft 365への切り替えを後押ししている。背景には、オフライン作業の制約やITコストの増加といった現場の悩みを突いた訴求がある。特に注目すべきは、Forrester Consultingが実施した調査結果だ。Microsoft 365導入企業では、3年間で223%という投資対効果を得ており、6か月未満で初期投資を回収できたという。

さらに、1ユーザーあたり週1.5時間の業務効率化や、年間686時間分のIT業務削減といった具体的な成果も示された。これらの数字を根拠に、Microsoftは「今こそ移行の好機」と訴えるが、実際の評価は賛否が分かれている。

Office 2016・2019のサポート終了が迫る中で示された具体的ROI

MicrosoftがMicrosoft 365への移行を訴える根拠として提示したのが、Forrester Consultingによる調査結果である。このレポートでは、365導入によって企業が得た経済的な恩恵が数値化されており、3年間で223%という高い投資対効果(ROI)が明らかになった。また、初期投資の回収期間は6か月未満とされ、短期間での効率改善が期待できるとされる。業務効率に関しては、1ユーザーあたり毎週1.5時間の共同作業時間の削減、IT専門職の年間業務時間を686時間短縮する効果など、数字ベースでの説得力もある。

さらに、古いハードウェアやソフトウェアの廃止によるIT保守費の削減効果も強調され、具体的には約29万7,000ドルのコスト削減が見込まれているという。これらのデータは、永続ライセンス版Officeからの乗り換えを検討している中小企業や個人にとって、導入判断を後押しする材料となりうる。事実として、Office 2016および2019がWindows 10と同時に今年後半にサポート終了を迎えることから、移行に向けた現実的なタイムリミットが刻一刻と迫っているのも見逃せない。

一方で、これらの数字が全ての環境に当てはまるとは限らず、実際の導入効果には業種や運用規模による差が出る可能性もあるため、読み解きには慎重さが求められる。

Windows 11と同様の戦略が透けて見える365移行のプッシュ

Microsoftは以前からWindows 10ユーザーに対してWindows 11への移行を強く働きかけており、その流れと同様の戦略がOffice製品にも適用されつつある。Windows 11のインストール要件として、インターネット接続やMicrosoftアカウント(MSA)が強制されるようになり、ユーザーが回避のために用いていた「BYPASSNROスクリプト」はブロックされた。一方で、Microsoft自らが案内する回避手段も存在するなど、一貫性に欠ける対応が見られる。

このような環境において、Microsoft 365への移行も「より便利で生産的」と強調される一方、旧Officeユーザーの選択肢が徐々に狭められている印象は否めない。実際、リモートワークやモバイルワークの広がりにより、365が提供するクラウドベースのコラボレーション機能は確かに魅力的ではあるが、その裏でオフライン環境やスタンドアロン運用への配慮が薄れているのも事実だ。

導入の自由度が建前となりつつあり、最新の機能やアップデートを享受するには「Microsoft 365一択」という流れが強まりつつある。これはWindows 11の普及戦略と重なり合い、利便性と引き換えに選択の自由が揺らぎ始めているとも読み取れる。選択肢があるようで実質的には誘導されている構図は、注意深く見極める必要があるだろう。

Source:Neowin