AMDのRyzen 7 9800X3Dを搭載したASRock製AM5マザーボードで、電源投入時のPOSTに失敗するケースが複数報告されている。AMDとASRockは2025年2月からこの不具合を認識しており、ASRockは早期にベータ版BIOSを公開。調査の結果、主な原因は旧BIOSバージョンにおけるメモリ対応の不備であり、最新BIOSへの更新で解決可能とされている。
POST失敗は100件以上確認されているものの、全体から見ればごく一部の構成に限られ、CPU自体の損傷ではないケースが多い。AMDは、まずBIOSの更新を推奨すると同時に、それでも解決しない場合はサポート連絡やRMA対応を案内している。
POST失敗の主因は旧BIOSのメモリ対応 ASRockとAMDの調査で判明

ASRock製のAM5マザーボードにおいて、Ryzen 7 9800X3D搭載時にPOSTが完了しないという不具合が発生していた。AMDとASRockは2025年2月以降この問題を認識し、共同で原因を追跡。調査の結果、問題の大部分は旧BIOSバージョンが特定のメモリとの互換性に不備を抱えていたことに起因すると判明した。この対応として、ASRockは即座にベータ版BIOSを配布し、その後正式なBIOSアップデートを通じて修正が行われた。
AMDはTom’s Hardwareに対して、POST失敗はすべてCPUの故障によるものではないと明言している。実際に報告された100件超の不具合も、数百万の構成全体から見ればごく一部にとどまっている。ASRockはすでにガイドラインとともに対応策を提示しており、該当製品に関する情報の透明性は一定水準を維持しているようだ。
メモリの相性問題が依然として潜在的なトラブル要因であることは否定できない。特に最新世代のCPUと高周波数メモリを組み合わせる構成では、BIOSの更新状態が安定性に直結するケースも多い。Ryzen 9000シリーズを導入する際には、マザーボードのBIOSバージョンを事前に確認し、必要に応じたアップデートを怠らない姿勢が求められる。
発火ではなかった9800X3Dの焼損疑惑 埃が原因の事例も
一部で話題となったRyzen 7 9800X3Dの「焼損」報告について、AMDはその真相を明らかにしている。報告のあったASRock製マザーボードには物理的な損傷や焦げ跡は見られず、CPUやマザーボードの異常な加熱も確認されなかったという。原因はソケット内部の微細な異物や埃の蓄積による接触不良であり、清掃後は問題なくPOSTが完了。長時間のテスト運用でも安定性が保たれたとされる。
高性能CPUを扱う際、発熱や電力制御に対して過敏になるのは当然のことだが、今回のように物理的な汚れがトラブルを引き起こすケースは見落とされがちである。AMDの報告は、深刻に見える問題でも単純な原因によって引き起こされている可能性があることを示している。設置時の環境やメンテナンスの質も、システムの安定性に直結するという教訓を残した。
今後も同様の事象が発生する可能性は否定できず、製品の不具合と判断する前に基本的なチェックを徹底すべきだろう。CPUやマザーボードの性能に頼るだけでなく、それを支える周辺環境や日常の扱いに意識を向けることが安定運用には不可欠といえる。
BIOS更新で解決しない場合の対応 サポートとRMAの流れも確認
AMDとASRockは、Ryzen 7 9800X3DのPOST問題に対しBIOS更新を第一の対応策として推奨している。しかし、それでも問題が解決しない場合は、各メーカーのカスタマーサポートへの連絡が求められる。Tom’s Hardwareの報道によれば、サポート窓口ではさらなる診断を行った上で、必要に応じてCPUのRMA(返品交換)手続きが案内されることもあるという。
この対応フローは、ユーザーにとってトラブル時の道筋を明確にするものである。特に高価なCPUで問題が発生した場合、自力での原因特定や復旧が困難になることは多い。AMDが公式に「POST失敗は必ずしもCPUの故障ではない」としていることからも、焦らず段階的に対応する冷静さが求められる。
サポートに連絡する際には、BIOSのバージョンや構成環境、試した対策などを記録しておくことで、スムーズな対応が期待できる。RMAによってCPU交換となれば、ブートの問題は多くの場合解決する見込みがあるが、その前に取るべき対処法を押さえておくことが安定した環境構築への近道となる。
Source:Tom’s Hardware