Qualcommが発表した最新チップセット「Snapdragon 8s Gen 4」は、TSMCの4nmプロセス「N4P」を採用し、前世代比でCPU性能31%向上、電力効率39%改善というスペックで登場した。Kryo CPUを核に、Adreno 825 GPUやHexagon NPUによるAI処理性能の進化も目を引く。
最大320MP対応の18ビットトリプルISPやSnapdragon Elite Gaming機能によって、映像処理やゲーム性能も強化され、4K 60fps HDR動画撮影にも対応。通信では5G sub-6GHzやWi-Fi 7、Bluetooth 6.0をサポートし、ストレージはUFS 4.0、メモリはLPDDR5Xに対応する。
Kryo構成によるCPU設計と省電力性能の狙い

Snapdragon 8s Gen 4は、最上位モデルの8 Gen 4に搭載されるOryonコアではなく、従来のKryo CPUを採用する構成となった。Cortex-X4を筆頭に、A720コアを3.0GHz、2.8GHz、2.0GHzの3段階に分けて配置する8コア設計で、用途に応じた効率的なタスク処理を図っている。これにより、性能はSnapdragon 8s Gen 3比で31%向上しつつ、電力消費は39%削減されたという。プロセスノードにはTSMCの4nm「N4P」が使われており、製造面でも最適化が進んでいる。
Oryonコアを避けた背景には、発熱や消費電力の増加を抑えつつ、十分な処理性能を保ちたいという意図があると見られる。性能と省電力のバランスを意識した構成は、長時間使用する動画視聴やSNS、ゲームなどのシーンで恩恵を感じやすい。フラッグシップに迫る性能を、より実用的な形で提供するための選択と考えるのが妥当だろう。
Adreno 825とElite Gamingの進化が描くモバイルゲームの未来
新たに搭載されたAdreno 825 GPUは、Snapdragon 8s Gen 3のGPUと比較して49%の性能向上を実現したとされている。加えて、Snapdragon Elite Gaming機能により、レイトレーシングやAdreno Image Motion Engine 2.0、Game Super Resolution 2.0といった先進機能がフル活用可能となっている。これらの技術は、より滑らかでリアルな描画表現を可能にし、特にFPSやレースゲームなど動きの激しいジャンルでの体験に大きな差を生む。
GPU性能の向上はベンチマークだけでなく、実際のゲーム環境での熱やフレームレート安定性にどう影響するかがカギとなる。過去には高性能GPUでも発熱や電力消費が足かせになることが多かったが、今回は電力効率の向上と組み合わさることで、持続的なパフォーマンスにも期待がかかる。グラフィックスとAIの両面からゲーム体験が進化していく中で、このチップが実機でどれだけの完成度を見せるかが注目される。
カメラ性能と接続性の多機能化がもたらす新しい日常体験
Snapdragon 8s Gen 4は、18ビット処理のトリプルISPを搭載し、最大320MPのカメラセンサーや4K 60fps HDR動画に対応するなど、写真・映像機能も大幅に強化された。これにより、従来のミッドレンジチップとは一線を画す高画質な撮影が可能となる。さらに、AI処理を担うHexagon NPUも刷新され、オンデバイスAI性能は44%向上。被写体認識や画像処理などでのレスポンス向上にも寄与する。
通信面では、Snapdragon X75 5Gモデムを内蔵し、最大4.2Gbpsのダウンロードを実現。ただし、mmWaveには非対応で、sub-6GHzのみにとどまる点はやや物足りない印象もある。一方で、Wi-Fi 7やBluetooth 6.0、UFS 4.0、LPDDR5X RAM、USB 3.1 Gen 2などの高速規格に対応し、接続性と速度の両面で最新ニーズに応える仕様となっている。XPANによる音声伝送機能も含め、日常の使い勝手を静かに底上げする進化といえるだろう。
Source:GSMArena