Appleは米国特許庁において、将来のMacBookに搭載予定とされる新たな電磁永久磁石(EPM)システムに関する特許出願を公開した。この技術は、MacBookの蓋を開いた状態でも強力な磁場が外部機器に影響を与える現行システムの問題を回避する狙いがある。特にクレジットカードの磁気ストリップ損傷への対策として注目される。

本特許では、EPMによって磁力のオンオフを制御できる仕組みが中核を成す。磁力は電流パルスで切り替え可能であり、常時通電を必要としない設計が電力効率の面でも利点をもたらす。MacBook使用中には磁場を遮断することで、周辺機器への干渉を最小限に抑える構成が想定されている。

出願された特許「20250111972」では、HIMARC SimulationsのJean-Marc Geryを含む技術者らが名を連ねており、Appleが外部専門家の技術を取り入れている可能性も示唆される。今後の製品設計において、安全性と精密性の両立がますます重視されることになりそうだ。

電磁永久磁石が可能にする蓋開閉の動的制御と安全性向上

Appleが出願した特許「20250111972」では、磁化状態を切り替えることで磁力の発生を制御できる電磁永久磁石(Electropermanent Magnet:EPM)を用いたシステムが中核に据えられている。これにより、従来のように常時磁場を放つ永久磁石による影響を受けず、MacBookの蓋を開いている状態で外部に不要な磁力が及ぶことを抑制できる。

EPMは電流パルスによって磁化状態をオンまたはオフにし、パルス後もその状態を保持するため、電力消費も最小限に留められるという特性を持つ。MacBookの構造においては、EPMアレイをベース側に、固定磁石アレイをディスプレイ側に配置することで、蓋の開閉動作をきめ細かく制御する構成が考えられている。

蓋の保持には引力を、開放には反発力を発生させる制御が可能となる点が技術的な特徴である。Appleはこの制御により、日常使用時の物理的安全性や精密性を両立させる狙いを持つと考えられる。また、不要な磁場の排除はクレジットカードなどの磁気ストリップ付きアイテムに対するリスク軽減に直結する。

この技術はMacBookシリーズにおけるハードウェア設計の進化を象徴するものであり、可搬性や操作感を損なわずに、外部環境との調和を高める一手といえる。静的な構造ではなく、状況に応じて動的に状態を変化させられる磁気制御の導入は、今後のノート型デバイス全体に波及する可能性を含んでいる。

外部技術者の関与が示すAppleの開発戦略と知財戦略の転換

今回の特許には、Apple内部のプロダクトデザインマネージャーJohn DiFonzoや、同社のバイオメカトロニクスエンジニアである牧畑光俊に加え、HIMARC Simulationsおよび360 Magnetics CorporationのオーナーであるJean-Marc Geryが発明者として記載されている。このGery氏はAppleの直接的な社員ではなく、外部企業の技術者である点に注目が集まる。

Appleが同氏から知財を取得したのか、それともコラボレーションの一環として開発を進めたのかは明言されていないが、いずれにしても従来の自社完結型開発とは異なる姿勢が見え隠れする。Appleは歴史的に、ハードウェアとソフトウェアの統合を自社内で完遂することで高い製品品質を維持してきたが、今回のように外部の磁気シミュレーションや精密構造設計の専門家を起用する動きは、今後の製品開発体制に変化が生じている可能性を示唆する。

とりわけ物理的な構造が極限まで洗練されてきた現代のノート型PCにおいては、磁気干渉のような微細な問題に対しても専門的アプローチが求められる場面が増加している。このような外部との連携は、技術革新の速度を維持しつつ知財ポートフォリオを強化するための戦略的選択とも受け取れる。

Appleが「電磁永久磁石」に関する言及を20項目中43回にわたって行っている点からも、同社がこの技術を中核資産として位置付けている姿勢がうかがえる。今後の製品群への導入を前提とした、布石的な特許出願である可能性も否定できない。

Source:Patently Apple