Pixel 10シリーズのカメラ仕様が明らかになった。注目すべきは、ベースモデルのPixel 10に初めて望遠レンズが搭載される点だ。これまで望遠はProモデル専用だったが、11MPのSamsung 3J1が新たに加わる。ただし、メインカメラと超広角カメラはPixel 9aと同じスペックに置き換えられ、全体としては性能ダウンの印象が否めない。
Proシリーズは昨年と同じ構成を維持し、ハイエンドとの差別化が一層強まる見通し。特にPixel 10は望遠機能の追加と引き換えに、暗所性能や広角撮影の質が後退する可能性が指摘されており、選択に迷いが生じる構成となっている。
Pixel 10に望遠レンズ追加 ベースモデルのカメラ構成が大きく変化

Pixel 10の最大の変化は、これまでProモデルに限られていた望遠カメラが初めてベースモデルに搭載された点である。採用されたのはSamsung製の11MP望遠センサー「3J1」で、これはPixel 9 Pro Foldと同型のもの。遠距離撮影やポートレート撮影での利便性が高まることが期待される。一方で、メインカメラと超広角カメラはダウングレードされており、Pixel 9aと同じSamsung GN8およびSony IMX712が採用されている。これらは前モデルよりもセンサーサイズが小さく、特に暗所撮影やダイナミックレンジの面で性能差が生じると見られる。
ベースモデルで望遠が利用できること自体は魅力的だが、それが全体の撮影体験を向上させるかは不透明である。Pixel 9a相当のセンサー構成に望遠を加えただけで、トータルの画質としては退化している可能性もある。物理的なスペックが下がる中で、Google独自の画像処理やTensor G5に搭載予定のISPがどこまで補えるかが今後の評価ポイントとなりそうだ。
Pixel 10 ProとPro XLは据え置き 差別化がより明確に
Pixel 10 ProおよびPro XLに関しては、昨年のPixel 9 Proとカメラ構成が完全に同一となっている。メインセンサーにはSamsung GNV、超広角と望遠にはSony IMX858を採用しており、自撮りカメラも同型のまま。新要素の追加はなく、ハードウェア面では完全な据え置き仕様である。ただし、Tensor G5による処理性能の向上や、新しいISPによる最適化が行われる可能性があり、実際の使用感には変化があるかもしれない。
スペックに変化がないとはいえ、ベースモデルとの比較では明確な性能差が維持されている。特に広角と超広角のセンサーはサイズや描写力において上位モデルが優れており、カメラ性能を重視する場合にはProシリーズが依然として優位であることに変わりはない。ベースモデルに望遠を加える一方で、基本的な画質を落とすという構成が、むしろProとの差別化を際立たせている点は注目に値する。
Pixel 10 Pro Foldのカメラ変更は最小限 慎重な進化を選択か
Pixel 10 Pro Foldでは、メインカメラに小さな変更が加えられている。前モデルのSony IMX787から、Pixel 9aでも使用されているSamsung GN8へと置き換えられた。これにより、センサーサイズはやや縮小し、低照度性能や描写力において影響が出る可能性がある。ただし、超広角・望遠・自撮りカメラはいずれも昨年と同じSamsung製のセンサーが引き続き使われており、全体としての変化は限定的である。
折りたたみ端末という構造上の制約を考慮すると、大幅な刷新が見送られた背景も理解できる。ただし、GN8はPixel 9aで評価が分かれたセンサーであり、折りたたみモデルの価格帯や期待値を考えると、選択としてやや保守的すぎる印象も否めない。カメラ機能に革新を求める層にとっては、今回のアップデートはやや物足りない内容となっているかもしれない。性能と設計のバランスを重視した調整とも取れるが、驚きの要素には欠けている。
Source:Android Authority