2025年第1四半期、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの株価が17.3%の上昇を記録し、同期間に4.6%下落したS&P500を大きく上回るパフォーマンスとなった。

同社は3,340億ドルの現金を保有し、将来的な市場の調整局面に備えた強固な財務基盤を維持しているが、第4四半期には自社株買いを一切実施しておらず、慎重な資本配分姿勢がうかがえる。
一方で、株価純資産倍率は過去10年で最高の1.8に達しており、割安感が薄れる中でもバフェットの長期志向の投資哲学が支持を集めた形となった。

バークシャーが記録的上昇を遂げた背景と市場との乖離

2025年第1四半期、バークシャー・ハサウェイの株価は17.3%上昇し、対照的にS&P500は4.6%下落と低調な結果に終わった。特筆すべきはこの乖離の背景である。バークシャーは主要な事業会社を傘下に持ち、幅広い業種に分散されたポートフォリオ構成が、市場全体のリスクを回避する構造となっている。2023年の営業利益は前年比27%増と堅調に推移し、基礎収益力の強さが投資家に安心感を与えたとみられる。

一方、S&P500は金利上昇や地政学リスク、加えて通商政策に対する不安定な見通しなど複合的要因により、投資家心理が大きく揺れ動いた。こうした中で、安定収益を生むバークシャーの事業基盤や長年の実績が再評価され、資金が流入した構図である。市場平均を上回る成績は、単なる投資判断の成果ではなく、長期戦略と堅実経営の積み重ねに起因していると見るべきであろう。

バフェットの現金保有戦略と自社株買いの沈黙

バークシャー・ハサウェイは2023年末時点で3,340億ドルもの現金を保有しており、これは同社の歴史においても過去最高水準にある。この潤沢な資金が示すのは、将来の不透明な市場環境においても好機を逃さぬ備えである。ただし、注目すべきは同社が第4四半期に一切の自社株買いを実施していない点だ。これは従来のバフェットの投資基準、特にP/Bレシオが一定水準を下回ることを条件としてきた姿勢との整合性を考慮した慎重な判断と見られる。

現在のP/Bレシオは1.8に達し、過去10年で最も高い水準にある。かつては1.2以下でない限り自社株買いに踏み切らなかったバフェットが、基準を緩和しつつも買い控えたことは、現行の株価に対する相対的な割高感の認識を裏付けるものである。また、現金ポジションを保持することで、今後の急落局面において迅速に優良資産を取得するための機動力を維持していると解釈できる。この構えは、短期の株主還元よりも中長期の企業価値向上を重視する姿勢の現れでもある。

Source:The Motley Fool