トランプ前大統領が推進する新関税政策により、中国製ハードウェアには54%、インド製に26%、ベトナム製に46%の追加関税が課される見通しとなった。Apple製品の約9割が中国などで組み立てられている現状では、コスト増は避けられず、価格維持には最大9%の粗利益喪失という厳しい代償が伴う。
製造拠点の分散やサプライヤーへの圧力といった対策も限界があり、最終的には価格改定や下取り制度の見直しといった形で、消費者が負担を強いられる可能性が高まっている。Appleは短期的には利幅を削って対応する構えだが、長期的には価格転嫁が避けられず、顧客の購買行動やブランド価値にも影響が及ぶ懸念が広がっている。
トランプ関税の波紋 生産地移転でも回避困難なコスト構造

Appleは現在、約85〜90%のハードウェア製品を中国で製造しており、残りもインドやベトナムでの組立が主軸となっている。これらの国々すべてが、トランプ前政権による新たな関税対象に含まれており、中国には54%、ベトナムには46%、インドにも26%という大幅な税率が課される構図となった。
製造拠点をこれら三国間で分散しても、関税の回避にはつながらない。トランプ氏は明確に「特例措置は設けない」と述べており、生産地の移転による抜け道は封じられたままである。Appleはインドでの生産拡大により、利益率の落ち込みを最大3%程度に抑える可能性があるが、それには膨大なインフラ投資が必要となり、短期的なリターンは見込めない。
しかも、各国の製造能力や技術水準には依然として差があり、品質維持やサプライチェーンの安定化に向けた追加対応も不可欠となる。結果として、Appleが関税を吸収し続けることは現実的でなく、他の手段を模索せざるを得ない状況にある。
利益率か価格維持か 二律背反に直面するAppleの苦渋の選択
アナリストのMing-Chi Kuoは、Appleが価格を据え置いた場合、粗利益率が8.5〜9%下落すると試算する。この数値は同社の長期的な事業継続性を損なうレベルにあり、特に株主が利益拡大を当然視するAppleのような企業では、看過しがたい指標である。
価格改定を行わない場合、株主との利害対立が激化するリスクが高まり、企業戦略としての選択肢は著しく狭まる。一方で価格を引き上げれば、販売減少やブランド離れを招く懸念があるため、Appleは価格転嫁を露骨にせず、補助金制度の見直しや下取り割引の削減といった、見えにくい形での調整を進める可能性がある。
見かけの価格を維持しつつ、実質的なコスト負担を増やすことで、消費者の反発を回避しながら利益確保を図る構えといえる。だがその分、顧客満足度や製品の訴求力が損なわれるリスクも常に背中合わせにある。
Source:AppleInsider