トランプ政権が発表した包括的な新関税政策により、Appleの主要製造拠点である中国や台湾、インド、ベトナム、タイなどが軒並み高率関税の対象となった。とりわけ中国には54%という極端な税率が課される見通しで、Appleのグローバルな生産体制が大きく揺らいでいる。
ティム・クックCEOは関税回避に向け政権と水面下で交渉を重ねていたが、結果的に奏功せず、株価は発表直後に7.9%の急落を記録。投資家の動揺は明らかであり、製品価格への転嫁が現実味を帯び始めた。iPhone 16では据え置かれていた価格も、次期モデル「iPhone 17」では大幅な上昇が避けられない情勢にある。
Appleの競合であるSamsungは既に製造の中国依存を脱しており、今回の事態を機に明暗が分かれる可能性もある。
中国・インド・ベトナムが標的に 関税の直撃を受けるAppleの製造網

トランプ政権が4月9日から発効するとした新関税政策は、Appleの製造体制に深刻な影響を及ぼす内容となっている。中国に対しては54%という破格の関税率が設定され、Apple最大の製造拠点が事実上の包囲網に晒された格好だ。さらに、インドは26%の追加関税、ベトナムでは46%の引き上げが予定されており、これらの地域も例外ではない。
台湾についても同様の対象国とされているが、半導体については一時的に免除措置が取られている。Appleはここ数年、中国一極集中からの脱却を進めており、インドや東南アジア諸国への分散投資を強化してきたが、今回の政策により、その移行先までもが同時に打撃を受ける構図となっている。
製造工程全体のコスト増は避けがたく、米国外での組立や部品供給に頼るモデルの脆弱性が露呈した形だ。Appleにとっては、価格競争力の確保と同時に、さらに新たな製造戦略の模索を迫られる局面に入った。
ティム・クックの交渉失敗がもたらす経営リスクの波紋
Appleの株価は新関税発表後、わずか数日で7.9%の下落を記録した。これは、控えめなiPhone 16の発表時における1%の下落と比べて明らかに異例の水準であり、市場の動揺の大きさを象徴している。背景には、ティム・クックCEOがトランプ政権と行っていたとされる交渉の失敗があると見られており、過去には同様の関税政策を回避できた実績との対比が否応なく浮かび上がる。
CEOとしての対外的な政治交渉能力に加え、戦略的なリスク分散の成果が十分に出ていない点も投資家の懸念材料となっている。製品価格への転嫁が現実となれば、iPhone 17をはじめとする次世代モデルが過去以上に高額化することも考慮せざるを得ない。
一方で、競合のSamsungは数年前に製造の中国依存から脱しており、今回の関税対象から外れる可能性が高い。Appleは今後、政治リスクとサプライチェーン戦略の両面から厳しいかじ取りを迫られることとなる。
Source:PhoneArena