ウォーレン・バフェットがCBSのインタビューで、トランプ政権による輸入関税を「戦争行為」とまで批判した。全輸入品に一律10%、中国からは最大54%という新税導入を受け、株式市場は不安定さを増し、S&P500やナスダックは2022年以来の四半期ベースでの大幅下落を記録した。
だがバフェットは、経済混乱時にこそ良質な企業の株を割安に取得すべきと説く。2008年の金融危機でも彼は米国株を買い増し、その信念を貫いた。短期的収益の不安があっても、強い企業は将来的に成長を遂げるとの見解は揺らいでいない。
トランプ関税が企業利益と経済全体に影を落とす中、今こそ「オマハの賢人」の言葉に従うべきかが問われている。市場の混迷と恐怖の裏に、長期的利益の種が蒔かれている可能性がある。
トランプ政権の関税政策がもたらした市場動揺と経済への連鎖反応

ドナルド・トランプ大統領が打ち出した新たな輸入関税政策は、全輸入品に一律10%の課税を導入し、特に中国からの輸入に対しては最大54%という極端な税率を設定した。この決定により、米国内の株式市場は直ちに反応し、S&P500やナスダック総合指数は調整局面を繰り返しながら、2022年以来最悪の四半期成績に転落した。とりわけ、経済循環に敏感なセクターでは売りが加速し、企業の先行きに対する不安が一気に広がった。
輸入コストの上昇は、企業収益の圧迫と消費者価格の上昇を通じて、インフレ圧力の高まりを引き起こす構造にある。バフェットが「商品への課税に等しい」と警鐘を鳴らしたように、企業は価格転嫁を迫られるか、利益を削るかの選択を余儀なくされる。加えて、「戦争行為」とまで表現されたこの政策が国際的な報復関税を誘発すれば、米国経済の成長に対してさらなる逆風となる可能性が拭えない。
一方で、トランプ政権が目指す「相互関税」の論理には一貫性を欠く面がある。多国間交渉よりも二国間での圧力外交を重視する姿勢は、サプライチェーンの不確実性を高め、企業の投資判断にも影を落とす。結果として、市場は政策の意図よりも実効性に対する疑念を強め、不透明感が相場全体を包み込む事態となった。
バフェットの長期投資哲学と「意味のない恐怖」に立ち向かう姿勢
ウォーレン・バフェットは、経済の混乱時こそが良質な企業に対する長期的投資の好機であると語る。彼が2008年の金融危機下で「だから私はアメリカ株を買っている」と記した『ニューヨーク・タイムズ』寄稿文は、未曾有の混乱にもかかわらず将来の成長を信じて投資を行った象徴的な行動である。彼の姿勢は短期的な市場の恐怖ではなく、企業の本質的価値と競争力に注目するものであった。
今回の関税騒動に際しても、バフェットは明確なスタンスを示している。彼は競争力を持たない企業には警戒を促しつつも、健全な米国企業の長期的成長に対しては懐疑的である必要はないと断じている。仮に短期的に業績が悪化しても、時間が経てば記録的な利益を上げる企業が現れるとする見通しは、過去の実績に裏打ちされたものだ。
株価の一時的な下落は、合理的な価格で優良企業の株を取得する機会であるというのが彼の一貫した主張である。市場全体に恐怖が広がる中で、冷静な分析と信念を持ち続けた者だけがその恩恵を享受できる。事実、バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは59年間にわたり市場平均を上回る成果を上げており、その哲学の実効性を歴史が証明している。
現在の市場環境においても、同様の原則が適用可能であることは否定できない。政策の不透明さや短期的なボラティリティに惑わされず、本質的な企業価値に着目する姿勢こそが、次の成功を手にする鍵となる。
Source: The Motley Fool