Intelは、最新プロセスノード「Intel 18A」を初採用した次世代CPU「Core Ultra 300シリーズ(開発コード:Panther Lake)」を2025年後半に発売し、2026年初頭には本格供給を開始すると明かした。
同CPUは、新設計のPコア「Cougar Cove」とEコア「Skymont」を組み合わせ、電力効率と演算性能の両立を図る。また、最大12基のXe3「Celestial」GPUコアをチップレット構造で搭載し、AMDのStrix PointおよびStrix Halo APUとの競争が予想される。
構成面では、計算およびGPU用の2基の大型ダイを含む5ダイ構造を採用し、TDPはSKUにより15W〜45Wの範囲で展開される。Arrow LakeとLunar Lakeの技術的特長を融合した設計と位置付けられ、次期「Nova Lake」への橋渡しとなる。
Panther Lakeの中核を成す18Aプロセスと新世代GPU構成

Panther Lakeは、Intelが開発した新プロセスノード「Intel 18A」を採用する初のコンシューマー向けCPUとなる。従来のIntel 3と比較してトランジスタ性能が大幅に向上するとされ、革新的なBSPDN(Backside Power Delivery Network)技術の導入により、電力供給経路をウェハ背面に移す構造がとられている。これにより配線密度の最適化と消費電力の低減が期待される。
さらに、本製品には「Cougar Cove」Pコアと「Skymont」Eコアが搭載され、モバイル向け構成としてPコア6基、Eコア8基というバランスの取れた設計が想定されている。これらの高効率・高性能コアに加え、最大12基のXe3「Celestial」GPUコアをチップレットで構成するという野心的な設計が採用されている点は特筆に値する。
GPU部分は、AMDのRDNA 3.5アーキテクチャを採用したStrix PointやStrix Halo APUと直接競合する見込みであり、PCゲームや映像処理といった分野における選択肢として重要な意味を持つ。Intelがパッケージ単位で性能と電力効率の両立を図る姿勢は、モバイル市場における主導権獲得を強く意識した構図と見られる。
Arrow LakeとLunar Lakeの統合進化系としてのPanther Lakeの意義
Panther Lakeは、直近の「Arrow Lake」と「Lunar Lake」の後継とされており、両者の特長を統合した製品である。Arrow Lakeが追求した高い演算性能と、Lunar Lakeが重視した電力効率の両立を図る構成は、Intelの中長期的な戦略において一つの到達点と捉えることができる。
今回の設計では、計算・GPU向けの2つの大型ダイを含む全5ダイ構成を採用しており、SoCコントローラ、IO制御、さらにダミーダイを統合した複雑なレイアウトが特徴的である。これにより、TDPはSKUによって15Wから45Wの範囲でスケーリング可能となっており、ハイエンドノートPCから薄型軽量モデルまで幅広いセグメントをカバーしうる。
この柔軟なスケーリング設計は、単一製品で多様な市場を狙うIntelの方針を色濃く反映したものであり、競合他社との性能競争だけでなく、製品供給体制やエコシステムとの連携にも重点が置かれている可能性がある。Panther Lakeの成功は、2026年後半に控える「Nova Lake」への技術的橋渡しとしても重要な役割を担うといえる。
Source:TweakTown