Nvidiaは、Nintendoの次世代携帯型ゲーム機「Switch 2」にディープラーニングスーパーサンプリング(DLSS)、G-Sync、レイトレーシングの各技術が搭載されることを公式に確認した。新型チップにはAI処理を担うテンソルコアやリアルタイム描画を支えるレイトレーシングコアが組み込まれており、高精細かつ滑らかな映像表現が可能になるとされている。

また、G-Syncについては携帯モード限定のサポートで、据え置き利用時には非対応となる見込みである。これはSwitchのドックにおけるHDMI接続仕様が関係している可能性がある。詳細なCPUやGPU構成、RAM容量などは依然として未発表だが、Nvidiaが描く技術的方向性は、携帯ゲーム機における映像品質の新基準を示唆している。

DLSSとレイトレーシングの実装が示す次世代携帯機の性能進化

Nintendo Switch 2には、Nvidiaが誇るディープラーニングスーパーサンプリング(DLSS)とレイトレーシング技術が採用されることが明らかとなった。Nvidiaのムニ・アンダ副社長は、カスタムプロセッサにテンソルコアとレイトレーシングコアが統合されていると述べ、AIによる映像最適化とリアルタイム陰影処理の両立が可能となると説明している。

DLSSの導入により、比較的低い解像度でも高精細な描画を可能にし、ハードウェア負荷の抑制と高フレームレートの両立が実現する。

このことは、従来の携帯型ゲーム機では困難であった4K映像出力や120FPSのような描画性能が現実味を帯びることを意味する。特にDLSSは、AIによる画質補完を通じてネイティブレンダリングよりも少ない計算資源で、精細かつ安定した映像表現を支える中核技術である。

GPUコア数やメモリ速度といった詳細は依然不明ながら、プロセッサのアーキテクチャが最新世代に近いものである可能性が示唆される。これは単なるスペックの向上ではなく、携帯型プラットフォームとしての映像体験の質的転換を予感させる構成といえる。

G-Syncの限定対応が示す設計上の制約と意図

Nvidiaが明かしたところによれば、Switch 2はG-Syncをサポートするものの、これは携帯モードに限られ、ドック接続時のテレビ出力では機能しない仕様である。

この制限についてNvidiaは明確な理由を示していないが、同社はドック側のHDMI端子に関連する技術的制約があると示唆しており、ハードウェア設計上の判断が反映されたと考えられる。G-Syncは可変フレームレート環境下で画面のティアリングを防ぎ、滑らかな描画を保つ役割を持つため、映像品質への影響は小さくない。

一方で、Nintendoがモバイル体験に重点を置いていることを踏まえると、G-Syncを携帯モードに限定したのは、より重要な使用環境にリソースを集中させるための選択と見ることもできる。特に携帯ゲーム機としての特性を維持するために、熱設計や消費電力、ポート設計に制約がある中で、最も恩恵の大きい携帯プレイ時にG-Syncを提供する判断は合理的といえる。

また、ドック使用時にはテレビやディスプレイ側のリフレッシュレート制御が関与するため、G-Syncの導入は技術的・経済的コストの面からも慎重にならざるを得ない事情があると考えられる。

Source:Ars Technica