Qualcommは、4nmプロセスで製造された新型SoC「Snapdragon 8s Gen 4(SM8735)」を発表した。最大3.2GHzのCortex-X4を含む8コア構成で、CPU性能は前世代比で31%向上し、電力効率も39%改善。GPUは推定Adreno 825を搭載し、グラフィックス性能は49%増とされる。

ゲーム処理能力の向上に加え、Snapdragon Game Super Resolution 2.0やAdreno Image Motion Engine 2.0を通じて視覚体験も刷新。AI分野ではHexagon NPUによって処理速度が44%向上し、通信面でもX75 5GモデムによりWiFi 7とBluetooth 6.0をサポートする。

最大320MP対応の18ビットISP搭載カメラ機能も備え、4K/60fps動画撮影にも対応。Xiaomi、OPPO、Meizuなどが採用を予定しており、プレミアム・ミッドレンジ市場での導入が見込まれている。

KyroコアとCortex-X4を核とした構成が示すバランス重視の設計思想

Snapdragon 8s Gen 4は、TSMCのN4Pプロセスを採用した4nm世代のSoCであり、Kyro CPUコア群による8コア構成を採る。中でも最大3.2GHzで動作するCortex-X4プライムコアの存在が性能の柱となり、3.0GHzのCortex-A720が3基、2.8GHzと2.0GHzのコアが2基ずつ組み合わされている。

これにより、高負荷処理と省電力運用の両立が図られており、Qualcommは前世代比で31%のCPU性能向上と39%の電力効率改善を実現したと説明している。

注目すべきは、最新の「Oryonコア」ではなくKyro系を用いている点にある。これはコストと性能の均衡を重視し、最上位モデルとの差別化を明確にする狙いと読み取れる。

また、AIやグラフィックスへの最適化においても汎用CPUより個別処理ユニットの進化が重視される現在、CPU性能の過度な引き上げよりも、全体的なバランス設計が合理的といえる。結果として、Snapdragon 8s Gen 4はパフォーマンスと価格の最適解を模索する製品群にとって、極めて戦略的な位置づけとなる。

GPU性能49%増の意味とAdreno Image Motion Engine 2.0の影響

Snapdragon 8s Gen 4に搭載されたGPUは、正式名称こそ明かされていないが「おそらくAdreno 825」とされ、前世代と比して49%の性能向上が報告されている。加えて、Snapdragon Game Super Resolution 2.0およびAdreno Image Motion Engine 2.0に対応し、リアルタイムレンダリングやフレーム補完技術により、ゲームや映像体験が大きく進化している点も特筆に値する。

これにより、同クラスのSoCとしては異例とも言える映像演算力が実現されており、ハードウェアレベルでのレイトレーシング処理にも対応。これらは本来、最上位のゲーミング向けチップに限定されていた機能であり、ミッドレンジ機種においても没入感の高い視覚体験が求められる現代において、重要な差別化要素となる。

特にモバイル端末が動画制作やライブストリーミングのプラットフォームとして定着する中、こうした描画処理能力の強化は、性能競争の新たな焦点となりつつある。

WiFi 7とBluetooth 6.0への対応が示す次世代接続への備え

Snapdragon 8s Gen 4は、通信分野でも抜かりがない。5G通信においてはQualcomm製のSnapdragon X75モデムを内蔵し、Sub-6GHzおよびミリ波への対応に加えて、最新規格のWiFi 7およびBluetooth 6.0にも準拠している。これにより、高スループットと低遅延を両立した安定した通信が可能となり、次世代モバイル体験を支える基盤技術としての完成度が高まっている。

とりわけWiFi 7対応は、法人利用やクラウドゲーミングなど大容量・低遅延を求める分野において優位性を発揮する。Bluetooth 6.0についても、オーディオ品質や消費電力の面で進化が期待され、周辺機器との親和性をより高める布石となる。

これらの仕様は、Snapdragon 8s Gen 4が単なる廉価版ハイエンドチップではなく、将来を見据えた通信基盤としての価値を帯びていることを物語っている。高性能なSoCに求められる条件が、演算性能だけでなく包括的な接続力に移行している現実が反映された設計といえる。

Source:GIZGUIDE