OpenAIが画像生成機能をChatGPTに追加したことで、スタジオジブリ風のAIアートが爆発的に拡散した。84歳の宮崎駿監督は公式な反応を示していないが、ジブリファンが集うRedditサブレディットでは、AIアートの投稿禁止方針を改めて明確にし、模倣行為への拒絶姿勢を強調した。

これまでAIによるジブリ風作品の増加に沈黙を貫いてきたファン層も、著作権侵害の懸念を含め強い危機感を共有しており、2016年に宮崎監督がAI作品を「苦痛を理解していない」と一蹴した発言も再び注目を集めている。

OpenAIによると、機能公開から7億枚以上の画像が生成されており、こうした生成物が意図せずクリエイターの倫理観と権利の境界を侵食し始めている可能性がある。

AI生成画像の氾濫とジブリファンの反応

2025年4月、OpenAIがChatGPTに追加した画像生成機能により、スタジオジブリ風のAIアートが瞬く間に拡散した。

ソーシャルメディアでは数多くのユーザーが「ジブリ風」をタグ付けし、独自の創作物として公開したが、その多くは実在する作品やキャラクターに酷似していた。これに対し、Redditの「スタジオジブリ」サブレディットではAIアートの投稿が改めて明確に禁止され、AIによる模倣に対する強い拒絶の姿勢が示された。

モデレーターの投稿によれば、数年前からAI生成画像は全面的に禁止されていたが、他のSNSでの「ジブリ風AIアート」の急増を受け、ファンからの通報や問題提起が再燃したという。

こうしたファンの反応には、著作権侵害への懸念だけでなく、アートの本質を守ろうとする情緒的な抵抗も含まれている。Redditの議論では、AIが生み出すビジュアルに「魂がない」とする意見が多く、スタジオジブリの美学や哲学に対する深い共感が浮き彫りになった。

このような対応は、単なる規制ではなく、クリエイター文化と鑑賞者の信頼関係を維持するための自己防衛とも言える。模倣可能なスタイルが、果たして創造と呼べるのかという問題が、今後より多くの創作コミュニティで問われることになるだろう。

宮崎駿の沈黙と拡散する批判的言説

宮崎駿監督は今回の件に関して公に声明を出していないが、2016年にAI生成アニメを酷評した過去の映像が再び共有され、ファンによる象徴的な批判の礎となっている。「こんなものを作る人間は苦痛を理解していない」という発言は、AIによる芸術表現の限界と倫理性を問う言葉として引用され、ジブリ作品に対する敬意の欠如として捉えられている。

AIによる生成モデルが著作権で保護された作品群を学習データに用いている点については、OpenAIのみならず、MetaやMidjourneyなど複数の企業が提訴されており、創作物の無断利用に関する訴訟が続発している。この背景には、単なる技術革新では済まされない、権利者の実害と倫理的配慮の欠如という根本的な問題がある。

一方、OpenAI側は1億3,000万人以上のユーザーによる7億枚を超える画像生成を「創造性の幅」として評価しており、スタイルの模倣を創造と混同する傾向も見られる。生成AIが利便性や表現力を広げる一方で、既存作品の文化的文脈や制作者の意図を踏みにじる危険性を孕んでいることを、この騒動は明確に示している。

Source:TechCrunch