Appleは空間コンピューティング機器「Vision Pro」向けに、生成AIを中核とした大規模アップデート「visionOS 2.4」を発表した。ライティング支援やスマート返信、個別ビジュアル生成などを含む新機能群「Apple Intelligence」により、生産性と創造性の両面が飛躍的に進化。
さらに、iPhoneと連携した新アプリ導入や空間型ギャラリー体験、最大30日間の設定保持が可能なゲストモード刷新により、共有と没入の質も向上した。パフォーマンスや安定性の改善も施され、Vision Proは業務とエンタメを横断する次世代デバイスとしての存在感を一層強めている。
Apple Intelligenceの実装で進化するユーザー体験と業務効率化

visionOS 2.4で中核を成すのが、生成AIを用いた「Apple Intelligence」の各種機能である。ライティング支援では、アプリ内でリアルタイムに文章の校正や要約が可能となり、文書作成にかかる時間を大幅に短縮できる。
さらに、スマート返信機能はメールやメッセージアプリにおいて文脈を解析し、適切な返信候補を自動提示することで、意思決定の迅速化を支援する。また、重要メールを自動で整理する優先順位機能は、情報の取捨選択を補助し、過剰な通知による業務妨害を軽減する効果がある。
これらの機能は、単なる時短ツールにとどまらず、情報の質と判断の正確性を高める点で意義深い。特に、複数のアプリ間での連携を前提とした操作性の高さは、従来のAI機能と一線を画している。
また、粗いスケッチから完成度の高いビジュアルを生成する「イメージワンド」や、写真ライブラリから画像生成が可能な「Image Playground」など、創造的な作業領域においても新たな価値を提示している。生産性と創造性を両立させた設計は、Appleが次のプラットフォーム戦略としてVision Proを本格投入していく意志の表れとみられる。
Vision Proの共有性を高めるゲストモード刷新とiOS連携の狙い
ゲストモードの改善は、Vision Proの使用環境を根本から見直す動きの一環といえる。従来のような単一ユーザー前提の設計から脱却し、iPhoneやiPadを用いた承認プロセスを新たに採用することで、第三者との共有が現実的な選択肢となった。
さらに、眼球や手のキャリブレーション情報を最大30日間保存できる機能により、リピーターにとっても再設定の手間が省かれ、体験の一貫性が担保される。この仕様は、家庭内やオフィスでのマルチユーザー利用を強く意識したものである。
また、iPhone専用のApple Vision Proアプリの登場は、端末間の垣根を低くし、日常的な接触機会を増やす効果をもたらす。iPhoneからアプリやコンテンツを管理・ダウンロードできる設計は、Vision Proの利用をより直感的かつ継続的なものにするための布石である。
Appleが展開するデバイス間エコシステムにおいて、Vision Proが孤立した存在ではなく、他デバイスと補完し合う構造に組み込まれつつあることは注目に値する。共有性と接続性の強化は、ハードウェアそのものの魅力を超えて、体験全体の質を押し上げている。
Source:Geeky Gadgets