サムスンとクアルコムが、ARMアーキテクチャのライセンス料負担を軽減する策として、RISC-Vベースの独自プロセッサ開発に本格的に取り組んでいることが明らかとなった。

オープンソースであるRISC-Vは、コスト効率と高いカスタマイズ性が魅力で、すでにインテルやNVIDIAなども関心を示している。両社はまずIoTやウェアラブル向けに投入し、将来的にはハイエンド端末への展開も視野に入れる。

サムスンとクアルコムが進めるRISC-Vコア開発の現状と用途

報道によれば、サムスンとクアルコムは既に専任のエンジニアリングチームを立ち上げ、RISC-Vベースのプロセッサ開発に着手している。注力しているのは、低消費電力かつ高性能なコアの実現であり、第一段階としてはウェアラブルデバイスやIoT向けのチップをターゲットとしている。これらの分野では小型化と電力効率が最重要であり、RISC-Vの柔軟性と軽量アーキテクチャが適していると判断されている。

すでにRISC-Vは一部の組み込みデバイスで採用が進んでおり、今回のように大手企業が開発を本格化させることで、対応デバイスの幅が広がる可能性もある。ただし、現時点でスマートフォンやPC向けの高性能チップで実用段階にあるとは言いがたく、当面は実証や試験的導入が主となる見込みである。

こうした動きが着実に成果を生むならば、最終的により身近なデバイスにもRISC-Vベースのチップが搭載される可能性はある。ただ、それには互換性の確保やドライバ・ソフトウェア開発といった周辺課題も多く、短期間での本格普及には慎重な見方も残る。

ライセンス料圧力とエコシステム支配からの脱却

ARMアーキテクチャは現在、多くのスマートデバイスにおける基盤技術として強固な地位を築いている。しかし、その裏では、ライセンス料の高さと供給元による支配的なポジションが常に課題となってきた。特にソフトバンク傘下のARMが2023年にIPOを果たして以降、ライセンス方針がより厳格化されているという声が業界内で相次いでいる。

こうした背景から、オープンソースであるRISC-Vへの関心が高まりつつある。ライセンス料が不要でカスタマイズも容易なRISC-Vは、設計自由度の高い次世代チップ構築において有力な選択肢となり得る。クアルコムはその利点を「コスト効率と開発の自由度が両立する選択肢」と表現しており、サムスンも自社IPを活かしたエコシステムの拡充に前向きな姿勢を示している。

もっとも、RISC-VがすぐにARMの代替となるわけではない。長年蓄積されたARMの最適化技術や広範なソフトウェア対応は、今なおRISC-Vには存在しない成熟度を示している。それでもこの動きは、既存の支配構造から距離を置く試みとして意味を持ち、長期的には選択肢の多様化と競争環境の改善にもつながるだろう。

Source:Sammy Fans