Appleは、カメラによる動作解析を用いてユーザーの運動内容とその反復回数を予測・カウントする新技術の特許を4月3日に取得した。対象はiPhoneやMac、Apple Watchなど多様なデバイスで、LiDARなどを活用した精緻なワークアウト追跡が可能になると見られる。

この技術はApple Fitness+に代表されるオンラインフィットネスの進化を促進し、個人の自宅トレーニングにも対応する設計となっている。現在は特許段階にとどまるが、今後数年内に製品実装されれば、他社製スマートウォッチとの差別化にもつながり得る。

Appleが描くヘルスケアの未来像には、リアルタイムでのフォーム評価やフィードバックの実現も含まれると予測され、2026年登場と噂されるAI搭載Healthアプリとの連動も視野に入る。

Appleが特許取得した画像解析技術の実態と応用範囲

Appleが4月3日に取得した特許「エクササイズ追跡予測方法」は、運動中の身体の動きを画像データとして解析し、動作の種類と反復回数を特定する技術を中核に据えている。これはカメラ機能を活用する点で既存の加速度センサー型トラッキングとは根本的に異なり、iPhoneやMac、さらには将来的なカメラ搭載が噂されるApple Watchまで、幅広いApple製デバイスでの実装を視野に入れていることがうかがえる。

対象となるワークアウトは、筋トレのような動作が反復されるトレーニングだけでなく、複雑な身体操作を伴うエクササイズも含まれる可能性があり、リアルタイムでの予測と記録、さらにフィードバックを提供する機能が設計に組み込まれている。これにより、従来のウェアラブル端末では対応が難しかった高度な身体活動の追跡が理論上は可能になる。

この特許は、Peloton Guideのような既存のAIトレーナー型デバイスと類似した目的を持ちつつ、Appleならではのハードウェア統合と画像処理技術によって、より高精度な運動判定が期待されている。特にLiDARの搭載により、フォームの微細な変化を検出しやすくなり、加速度計やジャイロセンサーでは見落とされがちな動作も認識できる可能性がある。

カメラによるトラッキングが切り拓くAppleの健康戦略の行方

今回の特許が示す方向性は、単なるレップカウンター機能の追加にとどまらず、Appleが追求するパーソナライズされたヘルスケア体験の進化と密接に結びついている。Apple Fitness+との統合を前提に考えれば、ユーザーが自宅でワークアウトを行いながら、その姿勢や運動強度に応じたフィードバックをリアルタイムで受け取る未来像も現実味を帯びてくる。

現段階では紙上の技術であり、具体的な製品搭載時期は明示されていないが、2026年に登場が噂されるAIエージェント搭載のHealthアプリと連携すれば、日々の運動習慣が精緻に記録・解析され、より高度な健康管理が可能となる余地がある。これは単なるガジェットの進化ではなく、医療と予防領域を見据えたAppleの中長期戦略の一環とも読み取れる。

一方で、Amazfit Active 2などの低価格スマートウォッチがすでに一定レベルのレップトラッカーを搭載している中、Appleが市場で優位性を保つには、技術の正確性だけでなく、プライバシーやUXを含む包括的な価値の提示が不可欠となる。カメラによる運動追跡というセンシティブな手法が一般ユーザーにどこまで受け入れられるかは、今後の展開において一つの焦点となるだろう。

Source:TechRadar