米市場の不確実性が増す中、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイのクラスB株(BRK.B)に資金が流入している。1月以降、B株は16%上昇し、同期間に5%下落したS&P500との差は21ポイントに達した。背景には地政学的緊張、財政政策の変動、そして景気後退の懸念がある。バークシャーは180超の子会社と3,340億ドルの現金保有を誇り、鉄壁の財務体質が評価されている。
ただし現在、B株は簿価の1.7倍超で取引されており、過去20年で最も割高な水準にある。2024年第4四半期には自社株買いが見送られたこともあり、一部では過熱感への警戒も高まっている。長期的な分散投資先としての魅力は健在ながら、投資判断には冷静な視点が求められる局面にある。
安定性を求める資金の逃避先としてのバークシャー・ハサウェイ

2024年以降の地政学的な緊張と米国経済政策の急旋回により、金融市場は著しい動揺に晒された。トランプ政権による財政支出抑制策や国内製造業への回帰を促す関税政策が実体経済に波及するなか、投資家心理は急速にリスク回避へと傾いている。これに呼応する形で、伝統的な安全資産であるバークシャー・ハサウェイのクラスB株に資金が集中した。
同社は保険、インフラ、製造、消費財など180を超える子会社を傘下に抱え、業種分散によって収益の安定性を維持している。2024年の営業利益は474億ドルに達し、同年末時点では現金および現金同等物として3,340億ドルを保有していた。AppleやCoca-Colaなどの高格付け銘柄も広くポートフォリオに含まれ、信用格付けAAを有するその財務体質は市場混乱時に特に光る。
ただし、こうした人気の高まりが今後も持続する保証はない。分散と保守性が投資家の安心材料になっているのは確かだが、それゆえに成長加速への期待値は限定的である。市場の一時的な逃避先としての役割が、長期的な価値形成とどのように両立するかが問われる局面にある。
株価バリュエーションの過熱感と今後の注視点
2025年4月時点で、バークシャー・ハサウェイのクラスB株は簿価の1.7倍以上で取引されており、この水準は過去20年間で最も高い。1月以降で16%の上昇を見せた一方、同期間に5%下落したS&P500と比較すると、相対的な割高感が顕著となっている。特に2024年第4四半期にはバフェット自身が自社株買いを実施しなかったこともあり、価格面での天井感を示唆する材料と受け止められている。
同社はこれまでにも株価が企業価値を大きく上回る局面を経験しており、1996年以降ではB株が20%以上下落した例が複数回、最大で40%超の下落も記録している。過去の実績が輝かしいほど、市場の期待は先行しやすく、過大な評価がリスクとして跳ね返る可能性も否定できない。バークシャーのような巨大企業では、資産の規模が成長率を抑制する要因ともなり得る。
一方で、現在の高水準バリュエーションが長期的な成長可能性を正確に織り込んでいるかは見極めが難しい。バフェットの運用姿勢や市場環境の変化を冷静に観察しつつ、短期の価格変動に翻弄されない投資判断が求められる段階である。価格と価値の乖離をどう認識するかが、今後のリターンに大きく影響するだろう。
Source: The Motley Fool