Samsungは次世代型スマートリング「Galaxy Ring 2」に高密度の固体電池を採用し、バッテリー寿命の延伸と設計の柔軟性向上を図る見通しだ。従来のリチウムイオン電池に代わり、エネルギー密度は従来の約1.8倍にあたる360Wh/Lに達するが、この新技術は極めて高コストであり、本体価格のさらなる上昇を招く可能性がある。
しかし、最大の問題は依然として修理不可能な構造にある。スマートリングはスリムな形状ゆえに容量が限られ、加えてモジュール化されていないため、バッテリーが劣化すれば事実上使い捨てとなる。こうした中、Ouraが特許取得した交換可能なバッテリーモジュール設計は、根本的な問題の解決策として注目されつつある。
現行のハードウェア性能強化では限界がある中で、持続的なユーザー満足と資源効率を両立するには、修理・交換可能な構造への転換が不可欠といえるだろう。
Galaxy Ring 2に搭載される固体電池の性能と限界

SamsungがGalaxy Ring 2に搭載を検討している固体電池は、従来のリチウムイオン電池に比べエネルギー密度が大幅に向上しており、200Wh/Lから360Wh/Lというスペックは、スマートリングという極小デバイスにおける電力供給の持続性を格段に押し上げる技術的飛躍である。
この進展により、現行製品の弱点であった稼働時間の短さを一定程度克服し、ユーザーの日常利用における利便性を高める可能性がある。さらに、このバッテリー技術は柔軟性にも優れており、指輪のような特殊形状への適応も視野に入れられている。
しかし一方で、この固体電池は非常に高価であり、Galaxy Ring自体が既に399ドルと高価格帯に位置していることを踏まえると、次世代モデルではさらに価格が上昇する懸念がある。加えて、容量を拡張できたとしても、その上限は物理的制約や発熱などの熱設計問題によって制限され、スマートフォンやスマートウォッチのような大容量バッテリーとは比較にならない。
数値上は50〜100mAh程度の容量増加が見込まれるが、Galaxy Watch 7の300〜425mAh、Galaxy S25の最大5000mAhと比べれば、その差は歴然である。これらの事実は、Samsungのバッテリー技術が短期的な性能改善には資するものの、スマートリングの本質的課題である「小型デバイスにおける電源管理」の壁を完全に打破できるものではないことを示している。
修理不能なスマートリング構造がもたらす長期的な課題
Galaxy Ring 2を含む多くのスマートリングは、設計上、修理や分解が不可能である。これは構造上の制約ではなく、設計思想として「使い捨て」を前提とした工業製品の在り方に起因する。たとえ高性能バッテリーを搭載していたとしても、1~2年後にバッテリーが劣化すれば、それだけでデバイス全体の機能性が失われる。
Ultrahuman Ring Airのように500回の充電サイクルを耐えうるとされる製品ですら、劣化後の交換は保証対象外であり、事実上の買い替えが前提とされている。この構造は、ユーザーにとってコストと心理的負担の両面で大きな障壁となりうる。
スマートウォッチやスマートフォンがバッテリー交換や修理に対応しているのに対し、スマートリングは製品寿命の終わり=廃棄を意味するため、再購入の動機づけが乏しくなる。また、製造者側にとっても、初期不良や短期的なバッテリー死に対応するコストが累積し、収益モデルに影響を及ぼすリスクがある。
Ouraが取得した「US-12177997-B2」特許に見られるように、スライド式のモジュールによるバッテリー交換設計は、こうした問題への現実的な対処法として注目に値する。モジュール部分だけを交換可能にすることで、ユーザーの負担を減らし、製品の持続性を高める道が開ける。
スマートリングが真に日常に根差したウェアラブルとして定着するためには、「性能向上」よりも「構造改革」が鍵となる。
Source:Android Central