2025年4月、トランプ大統領が表明した大規模な報復関税政策を受け、米株式市場では急速な売りが進行。S&P500は2月中旬以降で11%超の下落を記録し、景気後退への懸念が投資家心理を冷やしている。

複数のアナリストはS&P500の年末予測を引き下げつつも、ウォール街の主要機関は依然として6,500ポイントという強気の見通しを維持。トランプ氏の関税措置が交渉戦略に過ぎない可能性を指摘する声もあるが、不確実性が続く限り市場のボラティリティは避けられない見通しだ。

こうした状況下で、電力やエネルギー関連、鉄鋼業など関税の影響を受けにくい銘柄への投資が推奨されており、EntergyやNucorといった企業に市場の関心が集まりつつある。

報復関税発動が招いた市場動揺とアナリストの評価修正

2025年4月3日、トランプ大統領が表明した報復関税措置は、S&P500をはじめとする米株式市場に即時の影響を及ぼした。輸入品に対する関税の引き上げは、米国の貿易赤字是正を目的としたものだが、多くのアナリストは経済成長の鈍化を警戒し、年末に向けた市場予測を下方修正している。実際、S&P500は2月19日を起点に11%以上の下落を記録しており、市場は政策の波及効果を織り込みつつある段階にある。

報復関税の影響は、短期的な株価変動にとどまらず、米企業の利益見通しやサプライチェーンの不確実性にも及んでいる。とりわけ、グローバル展開する製造業や小売業は、コスト増加と輸出入障壁のリスクに直面しており、その一部は既に業績見通しの修正に踏み切っている。こうした動きを受け、モルガン・スタンレーなどの主要金融機関は、景気後退シナリオを排除しないままも、S&P500の年末目標値を依然として6,500ポイントに設定し続けている。

この予測は、現在の水準から20%以上の上昇を想定するものであり、市場全体が悲観一色に染まっているわけではないという点を物語る。ただし、この見通しは関税の適用範囲や期間が限定的であることを前提としており、仮に政策が拡大・長期化する場合には、想定シナリオの修正が余儀なくされる可能性が高い。

政策の不透明性が生むボラティリティと分散投資の重要性

現在の米市場における不安定な値動きの背景には、トランプ大統領の関税政策が交渉カードに過ぎないとの観測がある。モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏は、関税措置が実体経済への長期的ダメージではなく、交渉戦略の一環として機能している可能性を指摘している。この分析が正しければ、市場の反応は一時的なものであり、将来的には回復局面が訪れる余地もある。

ただし、政権の真意が見えない限り、市場はその不透明性を価格に織り込み続ける。実際、アナリストの間でも意見は分かれており、関税による直接的なダメージよりも、政策の予測不能性が投資行動に強い抑制をかけているという見方が広がっている。このような局面においては、単一のセクターや地域に依存したポートフォリオではリスク分散が不十分となる。

そのため、アナリストや著名投資家は、電力・エネルギー・鉄鋼といった規制的な影響を受けにくいセクターへの注目を促している。ジム・クレイマーは、Entergy(ETR)やAmerican Electric Power(AEP)、さらにはNucor(NUE)を例示し、こうした企業が政策の転換による直接的な恩恵を受ける可能性があるとした。NUEの目標株価は現在154ドルとされており、これは現時点から37%以上の上昇余地を示している。選別的な資産配分が、今後の市場局面を乗り切る鍵となる。

Source: Barchart