Microsoftは、Windows 11のスタートメニューに対して、過去最大級の改良を加えようとしている。最新のDevおよびBetaチャネル向けプレビュービルド「26200.5518」「26120.3671」では、レイアウトが横に広がり、従来の2セクション構成を廃止。スクロール可能な一体型ビューへと進化し、アプリ一覧も常時表示可能になるなど、操作性が大幅に向上している。

加えて、「おすすめ」セクションの無効化やピン留めアプリの自動展開など、細かな表示設定も可能となり、個々の利用スタイルに合わせた柔軟なカスタマイズが実現。これまで批判の的だったスタートメニューが、ようやく快適な起点として生まれ変わる可能性が出てきた。

一体型レイアウトと横幅拡張で操作性が大幅向上

Windows 11の最新プレビュービルド「26200.5518(Devチャネル)」および「26120.3671(Betaチャネル)」では、スタートメニューのインターフェースが抜本的に見直されている。これまで2つに分かれていた「ピン留め済み」と「おすすめ」セクションの構成を廃止し、1つのスクロール可能なビューに統一。ピン留めアプリやアプリ一覧をよりシームレスに閲覧できる設計となった。

また、横幅も広がったことで、配置できるアプリ数や表示情報が拡張され、従来よりも一覧性が高まっている。これにより、マウス移動やクリック数が減り、アプリ起動までの手間が軽減される仕様へと進化したと言える。特に画面サイズの広いディスプレイでは、余白を有効活用したバランスの取れたUIと感じる場面も多いはずだ。

表示エリアの統合と拡張は、単に見た目の刷新だけでなく、日常的な操作を円滑にする実用性の高い改良となっている。長年使いにくさが指摘されてきたスタートメニューがようやく“使える”存在へと変わりつつある。

設定オプションの拡充が生む新たな自由度

今回のスタートメニュー刷新で注目すべきは、表示内容を細かくコントロールできる設定項目の追加である。設定画面内の「個人用設定」からは、「最近追加されたアプリ」や「最も使用したアプリ」、「おすすめファイル」などの表示を個別にオフにできるようになった。不要な情報を排除し、視認性を重視したシンプルな構成に変更できることは、使用スタイルに合わせた柔軟な最適化を可能にする。

さらに、ピン留めアプリを常にすべて表示するオプションも追加されており、アプリ起動の導線がよりダイレクトになる点も利点だ。レイアウトを変更するだけでなく、使う人自身がスタートメニューの内容を調整できるという自由度の高さは、カスタマイズ性に乏しかった従来の仕様とは一線を画している。

こうした細かな制御が可能になった背景には、Microsoftがようやく利用者からのフィードバックを本格的に吸い上げ、具体的なUI改善として反映し始めた姿勢がある。スタートメニューが「決められた入口」から「選べる入口」へと進化している点は、今回のアップデートにおける象徴的な変化と言える。

隠された機能IDとInsiderビルドの関係

刷新されたスタートメニューは、現時点ではWindows 11のプレビュービルドにおいても標準では表示されていない。利用には特定の「機能ID(Feature ID)」の有効化が必要とされており、一般的なInsiderアップデートの導入だけでは体験できない設計になっている。記事によれば、主なIDは「4940238(スタートメニュー再設計)」「49221331」「47205210(すべてのアプリレイアウト)」などで構成されている。

こうした仕様は、一般ユーザーが変化を体験するまでにはもう少し時間がかかる可能性があることを示している。一方で、裏側に機能がすでに組み込まれているという点からは、正式リリースに向けた準備が着々と進んでいる印象も受ける。限定的に公開されているとはいえ、今のうちにInsiderプログラムや機能IDの仕組みに触れておくことで、アップデート後の変化をスムーズに受け入れやすくなるだろう。

スタートメニューの変更は日々の操作に直結するため、小さな違いが積み重なることで使用感に大きな差が生まれる。機能IDの存在は、今回のアップデートが単なるデザイン変更にとどまらず、内部構造レベルでの改修を含んでいることを物語っている。

Source:XDA Developers