ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが、S&P500が年初来で3.58%下落する中、18%上昇を記録し注目を集めている。特にBYDが年初来43%、T-Mobileが18%の上昇を見せるなど、一部銘柄は市場全体の混乱を尻目に新高値を更新している。

主力銘柄の一部が低迷する中でも、ディフェンシブ銘柄や新興企業の躍進が全体のリターンを下支えしており、バフェットの分散戦略が再評価されている。

中国BYDが年初来43%上昇 バフェットのグローバル分散戦略が奏功

ウォーレン・バフェットが保有する中国の電気自動車大手BYD(1211.HK)は、2025年に入ってから43%の株価上昇を記録した。同社は高速充電技術の新発表を機に市場の期待を集め、株価は過去最高値を更新している。BYDは中国国内市場におけるEV普及の急拡大と、海外展開の加速を背景に投資家からの評価を一段と高めており、バフェットの長期保有スタンスとの親和性も高い。

中国リスクを抱えながらも、こうした成果をあげている点は、バフェットの地理的な分散投資が単なるリスク回避でなく、成長の源泉として機能していることを示している。従来、同氏の投資哲学はアメリカ国内に重きを置く傾向が強かったが、BYDのような海外企業の成功は、グローバルに優位性を持つ企業であればその国籍を問わず組み入れる柔軟性の現れといえる。ポートフォリオの安定性と成長性の両立において、BYDは象徴的な存在となった。

T-MobileとVeriSignの高値更新に見る通信インフラ投資の強み

T-Mobile US(NASDAQ: TMUS)は2025年に入って18%上昇し、3月には264ドルの新高値を記録した。また、インターネットインフラ管理を手がけるVeriSign(NASDAQ: VRSN)も同期間で23%の上昇を見せている。いずれも通信セクターに属し、変動の大きい市場環境において安定的な収益源として投資家からの評価を得ている。景気後退やインフレといった逆風の中で、通信インフラ企業はディフェンシブな位置付けとして機能している。

これらの銘柄に共通するのは、景気に左右されにくいサービスの特性と、高い参入障壁を背景とする収益基盤の安定性である。特にT-Mobileは米国内での5Gインフラ整備を着実に進めており、デジタル社会の中核を担う存在として将来性を確保している。バフェットがこの分野の銘柄を長期保有しているのは、成長分野における安定収益の確保を意識した戦略の一環と解釈できるだろう。

一部の主力株が低調でも堅調な全体成績 ポートフォリオ構造の妙

バークシャー・ハサウェイのポートフォリオのうち、56%を占める主力銘柄の一部は2025年に入り不調が続いている。しかし、その一方で好調な銘柄群が全体を大きく押し上げており、同社の株価は1月以降で18%上昇し、4月2日には537ドルの過去最高値を記録した。好調な銘柄にはBYDやT-Mobile、コカ・コーラ、VeriSign、Chevron、Aonなどが含まれる。

このような結果は、単一銘柄の浮沈に依存せず、全体のリスクを分散させる構造が有効に機能していることを物語っている。特定の分野や地域への集中を避け、収益源を多角化することで、外部環境の変動にも耐える体制が築かれている。加えて、キャッシュフローの安定性や配当の継続性といった基準で選ばれた銘柄群は、投資判断における一貫した哲学の反映でもある。市場全体が不安定な局面にあっても、バークシャーのような構造的優位性を持つ投資体は依然として強さを維持できる。

Source:Finbold