MicrosoftがWindows 11および10向けに再設計したCopilotアプリを正式リリースした。従来のEdgeベースではなく、XAMLと内部APIを活用した完全なネイティブアプリとなり、より高速かつ直感的な操作が可能となっている。

Windows 10版では視覚的な効果が一部省かれているが、応答モードや履歴パネル、スクリーンショット解析など、機能面は11版と同等。特に「クイック」と「より深く考える」2つのAI応答モードは利用シーンに応じた柔軟な対話を実現する。

ネイティブ化されたCopilotアプリがもたらす操作性と応答速度の進化

Microsoftが提供する新しいCopilotアプリは、これまでのWebViewベースの構造を脱却し、XAMLと内部APIを活用したネイティブアプリへと刷新された。これにより、ユーザーはWebブラウザの読み込み速度に左右されることなく、よりスムーズな起動とレスポンスの向上を体感できる。Windows 11版では「Win + C」のショートカットによる即時起動にも対応し、作業中でも思考を止めずにAIアシスタントを呼び出せる点は実用性が高い。

応答モードは「クイック」と「より深く考える」の2種類が用意され、状況に応じた使い分けが可能となった。「クイック」では2〜3秒という高速応答を実現し、「より深く考える」では最大10秒の処理時間をかけてChatGPT o3推論モデルを活用した深い対話を実現する。どちらも従来のWebベースのAIと比較して大幅な体験の向上が見られる。

ネイティブ設計によって導入されたこの機動性と柔軟性は、日常の作業や情報収集におけるAIの存在感を高め、AIをツールとして自然に扱う感覚を生み出す契機となっている。

Windows 10版にも対応するも視覚表現には制約あり

今回のCopilotアップデートは、当初Windows 11専用であった展開から一歩進み、Windows 10にも正式に対応したことが大きな注目点である。アプリの中核機能である2つの応答モードや履歴パネル、スクリーンショットの解析といった要素はWindows 11版と同等に提供されており、バージョン間の機能差は最小限に抑えられている。

しかし、視覚的な面では差異が明確だ。Windows 11に導入されているMica素材による半透明効果やアニメーションはWindows 10では非対応であり、外観においてはやや簡素に映る。このビジュアル面の違いは、操作の感触や没入感に影響を与える可能性がある。ただし、実用性においては大きな支障はなく、あくまで視覚的な印象の違いにとどまる。

このように、最新機能をより快適に使いたい場合はWindows 11への移行が推奨されるが、Windows 10環境でも主要な恩恵を享受できる点は広いユーザー層にとって歓迎される展開といえる。

会話履歴とスクリーンショット解析機能が生む新たな活用スタイル

再設計されたCopilotには、AIとの過去のやりとりを一覧表示できる履歴パネルが追加された。この機能により、以前の質問や回答内容を簡単に参照できるため、長期的なタスク管理やアイデアの蓄積といった用途での活用が現実味を帯びてきた。思考の断片を蓄積し、必要なときに即座に呼び出せるという点で、AIが記憶の補助ツールとしての役割を果たし始めている。

さらに注目すべきは、新搭載のスクリーンショットツールである。組み込みのスニッピングAPIと連携し、画面上の情報をそのままAIに送信して解析や質問ができる機能は、従来のテキスト入力中心の対話から一歩進んだ新しい操作方法である。資料の一部を切り取って意味を尋ねたり、UI上の不明点を即座に解決するなど、活用の幅は広い。

これらの新機能は、単なるチャットツールとしての枠を超え、作業の相棒としてのAI活用を日常的なものへと変化させつつある。AIとの対話は、ますます自然で、直感的なインターフェースへと進化している。

Source:ExtremeTech