MicrosoftがWindows 11の最新ベータビルド「KB5055622(Build 26120.3671)」をInsider ProgramのBetaチャンネル向けに公開した。注目は、タスクバーに多数のアプリを表示しても視認性を保てる「アイコンのスケーリング」や、PC復旧を迅速化する「Quick Machine Recovery」機能の強化。
さらにファイル共有を直感的に行える「ドラッグトレイ」や、Copilotとの連携による検索履歴機能の試験導入も含まれる。加えて、GPU認識や検索停止などの不具合修正、入力設定の細分化といった改善も多数実施された。Windows 11の進化は、実用性と快適性の両立に向けて着実に前進している。
タスクバーの新仕様で視認性と操作性が大幅向上

Windows 11 KB5055622で導入されたタスクバーアイコンのスケーリング機能は、表示領域が限られる中でも多くのアプリにすばやくアクセスできるように設計されている。従来はアプリ数が増えるとタスクバーが視覚的に煩雑になり、操作性にも影響していたが、今回の新機能により、自動でアイコンサイズが縮小され、視認性とクリック精度の両立が図られている。
設定画面では「タスクバーがいっぱいのとき」「常に小さくする」「小さくしない」の3パターンから選択でき、個々の作業スタイルに応じた柔軟なカスタマイズが可能となった。画面解像度やマルチモニター環境でも恩恵を感じやすく、特に多くのアプリを同時に開いて作業するユーザーには実用的な改良といえる。
このような仕様変更は、操作のスムーズさと見やすさを両立させるという点で、視覚設計の進化とも取れる。細かな改善に見えるが、日常的な使い勝手に直結するため、アップデートの中でも注目すべきポイントとなっている。
Quick Machine Recoveryの進化がもたらす安心感
新ビルド26120.3671での「Quick Machine Recovery(QMR)」の機能向上は、システムトラブル時の回復をより迅速かつ効率的に行うための取り組みである。テストモードを有効にした状態でのみ導入される修復パッケージにより、トラブル発生時の初動対応が自動化され、復旧時間の短縮が期待されている。
特に、Windows Update経由での段階的な展開や、設定アプリ内での更新状況の確認機能などが備わっており、導入の敷居も低くなっている。復旧機能は従来バックアップや手動操作に依存する部分が多かったが、QMRにより技術的知識をそれほど必要とせずに回復が行えるようになりつつある。
ただし、安定性や互換性に関する記述はなく、一般利用には慎重さが求められる側面も残されている。現段階ではテストモード限定という制約もあるため、本格展開にはもう少し時間を要する可能性があるが、その意義と方向性は明確で、将来的な標準機能化も見据えた試みといえる。
ファイル共有を変える「ドラッグトレイ」の直感的UI
ファイル共有の煩雑さを軽減するために追加された「ドラッグトレイ」機能は、エクスプローラーやデスクトップ上でファイルをドラッグした際に、画面上部に共有先が並ぶトレイを表示するという仕組みである。これにより、従来の右クリックメニューや「送る」メニューに頼らず、視覚的かつ直感的な操作で共有先を選べるようになった。
この機能は、日常的にファイルのやり取りが多い環境で特に効果を発揮する。複数の共有先を把握した上で、即座に選択・送信できることで、作業スピードの向上や手順の簡略化が実現する。加えて、操作中に表示されるインターフェースもシンプルで、マウス操作だけで完結する点が評価される。
現時点では段階的な展開となっており、すべてのユーザーがすぐに利用できるわけではないが、これまでのファイル共有フローに不満を感じていたユーザーには、大きな改善と映る可能性がある。デザインと実用性の両立を意識した機能として、今後の正式実装が期待される。
Source:Neowin