MicrosoftはWindows 11 Devチャンネル向けに、Build 26200.5518をリリースした。
最大の注目点は、タスクバー上のアプリが混雑した際に自動でアイコンを小さく表示する新機能の追加で、従来よりも効率的にアプリへアクセスできるようになる。

さらに、ファイルを画面上部の共有トレイにドラッグするだけで対応アプリへ簡単に渡せる新UIも導入され、日常の操作性が大きく向上する。その他にもQuick Machine Recoveryのテスト提供や不具合修正など、細かな改善も多数含まれている。

タスクバーの自動スケーリングがもたらす操作効率の進化

Build 26200.5518で追加された「タスクバーアイコンのスケーリング」機能は、長年のフィードバックを受けて実装された変更点のひとつである。タスクバーにアプリが並びすぎた際、自動でアイコンサイズを縮小することで、セカンダリーメニューを開かずともアクセス可能な範囲を広げる仕組みだ。設定項目では、常に縮小表示、混雑時のみ縮小、常に等倍表示の3つから選択できる。

これにより、複数のアプリを同時に扱う作業環境において、表示領域の圧迫を防ぎつつ、視認性と操作性を両立できるようになった。ただアイコンが小さくなるだけではなく、操作の流れ全体がスムーズになるという恩恵がある。モバイルデバイスやウルトラワイドモニターを使用しているユーザーにとっては、表示最適化の選択肢が広がる点も見逃せない。

以前はアイコン数が多いと自動的に溢れ、追加アプリが見えなくなる不便さがあった。この変更により、操作上のストレスが軽減され、タスクバーというUIの基本的な在り方そのものに柔軟性が加わったことは大きい。単なる見た目の調整ではなく、実用性を追求したアップデートと言える。

直感的なファイル共有を実現するドラッグトレイUIの導入意義

今回のアップデートでは、ファイル共有時のユーザー体験を変える「共有トレイ」が新たに追加された。デスクトップやエクスプローラーから任意のファイルをドラッグすると、画面上部にトレイが出現し、OneDriveやNearby Shareなどの共有先へファイルをそのままドロップできる。このUIは視覚的なわかりやすさに加え、操作手順の簡素化を実現している。

これまでの共有フローでは、ファイルを右クリックして共有オプションを探し、別ウィンドウで共有先を選択するという多段階の動作が必要だった。新UIはそうした煩雑さを取り除き、直感的な操作だけで目的を達成できる構造に仕上がっている。さらに、詳細オプションを選べば従来の共有画面にもアクセスできるため、柔軟な使い分けが可能なのも利点である。

日常的にファイルの送受信を行う人間にとって、数秒の短縮は作業リズム全体に影響する。このトレイ機能は、視線移動とクリック数を極限まで減らす工夫が随所に見られ、単なるインターフェースの変更にとどまらず、Windows 11のUI哲学そのものの深化を象徴していると言える。

Quick Machine Recoveryの試験導入とその実用面での可能性

Build 26200.5518では、Quick Machine Recovery(QMR)のテストパッケージも配信が始まっている。この機能は、システムトラブル時に迅速な復旧を目指すもので、Insider Program参加者向けに試験的に導入されている。テストモードを有効にすると、自動的に「Quick machine recovery update for Windows 11」がインストールされ、更新履歴にも表示される仕様だ。

現在は正式版ではないが、導入の背景には、再インストールや復元といった従来のリカバリー手法にかかる手間や時間を最小限に抑える意図が読み取れる。特に、業務中にPCがフリーズした場合や、更新後にシステムが不安定になった際、迅速に元の状態へ戻せる仕組みの整備は極めて実用的である。

ただし、現在はテストフェーズであるため、安定性や対応範囲については今後の検証が必要であり、すぐに日常利用での活用が期待できる段階ではない。とはいえ、リカバリー機能の刷新は、Windowsの信頼性を高める上でも重要なステップであり、今後の展開次第では一般ユーザーにとっても大きな意味を持つ可能性がある。

Source:Neowin