人工知能(AI)銘柄として注目されてきたPalantir Technologies(NASDAQ: PLTR)が、4月2日に3.27%の上昇を記録した直後、翌日のプレマーケットで一転して5.74%の急落を見せた。

その背景には、同社株に対する空売り取引の急増があり、Fintelによると4月3日のショートボリュームレシオは異常ともいえる50.89に達していた。トランプ前大統領の政策発表が市場に広範な影響を与える中、過熱気味とされるAIセクターへの懸念が拍車をかけた形である。

市場では以前からPalantir株の過大評価が指摘されており、同銘柄は現在の調整局面において空売りトレーダーにとって格好のターゲットと見なされている。

空売り比率50.89という異常値が示すマーケットの逆転構造

FinboldがFintelのデータを引用して報じたところによると、2024年4月3日時点でPalantir Technologies(NASDAQ: PLTR)のショートボリュームレシオは50.89に達した。これは空売り取引量が通常の水準を大きく超えた状態を示し、同社株に対して市場参加者の過度な弱気心理が一気に噴出した形といえる。前日の終値87.45ドルから一転し、翌日にはプレマーケットで82.43ドルまで下落したことも、このポジションの偏りと市場の動揺を裏付けている。

この数値は単なるテクニカルな指標ではなく、投資家心理の転換点を示唆する重要なシグナルでもある。空売りが急増する局面では、株価下落の連鎖が自己強化的に進行しやすく、実体経済の動向以上に市場構造が株価を揺さぶる。特にAI関連企業のように期待先行で評価されがちな銘柄においては、この傾向がより顕著となる。過熱感が過度に膨張した局面での反動は、時として業績以上に株価を押し下げる要因となるだろう。

AIバブルの警戒感がPalantirとNvidiaを巻き込む連鎖構造

Palantirの株価急落は、同社の個別要因にとどまらず、AI分野全体への懸念と密接に結びついている。AIエコシステム全体が過熱状態にあり、特にデータセンターインフラへの投資や半導体関連企業への資金集中が「構造的バブル」として機能しつつある。記事でも触れられているように、PalantirはこのAI熱の中心に位置づけられる一方、Nvidia(NASDAQ: NVDA)もその中核を担っている。仮にバブル崩壊の兆候が現れれば、これら企業群の株価にはドミノ的影響が生じる可能性がある。

2024年後半の段階ですでに一部アナリストがPLTR株を「過大評価」と判断していたことからも、現在の市場動向には冷静な再評価が必要である。過度な成長期待が先行する局面では、業績の実態との乖離が目立ちやすく、その乖離を突く空売り勢にとっては格好の収益機会となり得る。AI産業全体に対する健全な疑義は、個別企業を超えて市場全体に影響を及ぼす構造的な圧力として作用している。

Source:Finbold