トランプ前大統領が4月2日に発表した新たな関税政策が、市場に大規模なパニックを引き起こした。仮想通貨全体で1,400億ドル超の資産が吹き飛び、XRPは24時間で5.63%下落。年初来でも3.69%の下落を記録している。XRPは現在、50日と100日の移動平均線を下回っており、2ドルの重要なサポートライン割れが現実味を帯びてきた。

次なる安定水準は200日移動平均線の1.80ドル付近とされるが、強気材料に乏しい現状では下落の勢いが勝っている。SECによる非公開会議が価格の反発材料になる可能性も示唆されているが、相場のボラティリティにより影響は限定的との見方が多い。市場の不安定さが続く中、今後のXRPの動きには警戒が必要だ。

トランプ関税がXRPに与えた直接的影響と市場のパニック構造

4月2日にトランプ前大統領が打ち出した新たな関税パッケージは、米中間の経済摩擦への警戒感を高め、仮想通貨市場を直撃した。特にXRPは24時間で5.63%の下落を記録し、年初来で見ても3.69%の値下がりとなった。これにより、仮想通貨市場全体では1,400億ドルを超える損失が発生しており、資金逃避の動きが一気に加速したことが分かる。

この動きは、仮想通貨が安全資産ではなく、むしろマクロ経済の不確実性に敏感に反応する高リスク資産としての性格を改めて露呈したといえる。今回の急落において、ファンダメンタルズの悪化による売りではなく、外部要因による「パニック的な売り」が主因となっている点が特異である。また、XRP単体というよりも、ビットコインをはじめとする主要銘柄全体のセンチメントが崩れた影響が波及しており、市場全体の構造的脆弱性も浮き彫りとなった。

市場のボラティリティは高止まりしており、特にニュースへの感応度が極端に高まる局面では、短期的な値動きに翻弄されやすい地合いが続く。今回のような政治的発言や政策変更が引き金となる形で仮想通貨が急落するという現象は、投資家心理の不安定さと流動性の脆さを示す象徴的な事例といえる。

テクニカル分析に示されたXRPのサポート水準とその意味

XRPの下落が続く中、注目されているのが2ドルという心理的節目である。この水準は短期・中期の市場参加者にとって重要なサポートラインであり、既に50日および100日の移動平均線(MA)を大きく下回っている現状からすると、防衛は困難な局面にあるとみられている。次に安定が期待される水準は、200日移動平均線が位置する1.80ドル付近とされるが、そこに到達するまでの下落圧力は強く、時間的猶予は少ない。

このようなチャート構造は、XRPが持つ基本的なトレンドに対する市場の期待が著しく低下していることを示している。特に、2ドルを割り込んだ場合には、ストップロスを巻き込んだ連鎖的な売りが発生しやすく、さらなる価格急落の可能性が高まる。一方で、終値ベースで2ドルを回復できれば、センチメントの急回復もあり得るが、それには外部からの好材料が不可欠であり、現時点ではその兆しは乏しい。

テクニカルな視点からは、現在のXRPは「下降トレンドの中の支持線割れ」という警戒すべき局面にある。短期反発を期待する動きもあるものの、材料難の中では限定的に終わる可能性が高く、価格形成の主導権は弱気筋が握っている状態が続いている。

SECとの非公開会議が価格に及ぼす影響と市場の冷静な評価

SEC(米証券取引委員会)は4月2日、リップル社との訴訟に関連すると見られる非公開会議を開催した。この件はXRPの将来的な規制上の立場に直接関わるものであり、本来であれば価格にポジティブな影響を与える可能性を持つ材料といえる。しかし、今回に限っては、市場関係者の大多数が「会議による価格への即効的な影響は限定的」とみなしている点が重要である。

その背景には、今回の関税発表によって市場全体が過度に動揺しており、仮にポジティブな訴訟進展があったとしても、それが価格に織り込まれる前に他の悪材料に押し流される構図がある。さらに、非公開会議という性質上、具体的な結論が市場に共有されるまでに時間を要することもあり、短期的には売買の材料として機能しにくい。

訴訟の行方は中長期的なXRPの安定性にとって極めて重要だが、それを一時的な相場反転の契機とするにはタイミングが悪く、また市場の地合いが悪化している中では、過度な楽観も禁物である。SECとの関係改善が進んでも、それが本格的な価格回復につながるには、より広範な市場心理の回復とマクロ要因の安定が前提条件となる。

Source:Finbold