『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキが、2025年4月2日のX投稿で金やビットコインではなく「銀」を最も価値ある資産として挙げ、金融界に衝撃を与えた。彼は、太陽光パネルやEVなど成長分野での産業需要と、逼迫する供給状況を銀の優位性として強調。

さらに、現在の価格が歴史的高値を大きく下回っていることから、投資妙味があると主張した。キヨサキは年内に銀価格が70ドルまで上昇する可能性に言及しており、これは現行水準から115%超の上昇を意味する。

銀を最重要資産とする根拠は「実需」と「供給の逼迫」にあり

ロバート・キヨサキが銀に注目する理由は、その実需の拡大と供給構造の逼迫にある。彼は太陽光パネルや電気自動車、コンピュータ、兵器システムなどの先端分野での用途を例に挙げ、銀の産業価値が一段と高まっていると指摘した。医療や水の浄化といった人間の生活インフラにも広く関わる点から、単なる投資対象ではなく社会基盤に直結する資源と位置付けている。

加えて、供給面でもキヨサキは警鐘を鳴らす。金やビットコインと異なり、銀は掘削・製錬のコストや制約が大きく、世界的に埋蔵量が限られている。産出国の地政学的リスクも伴うため、価格上昇に対する感応度が高い。これに対し金や仮想通貨はストック性が高く、流通量の調整が容易であることから、供給面のひっ迫が価格形成に与えるインパクトは限定的である。

こうした観点から、銀は他の資産とは異なる構造的優位を持つといえる。キヨサキの主張は、資源価格の上昇が投機による一時的なブームではなく、現実の需要と制約のバランスに基づくものである点に注目すべきであろう。

銀価格は過去高値を下回るが、上昇余地に注目集まる

2025年4月2日時点で銀価格は32.41ドルにとどまっており、1980年の高値である49.45ドルに比べ34%超も低い水準にある。この価格ギャップを背景に、キヨサキは現在の銀が過小評価されていると見ており、2025年内に70ドルへの上昇余地があると投稿で示唆した。この価格水準は現状から約116%の上昇を意味し、既存の投資先と比較しても極めて高いリターンの可能性を示す。

実際、銀は過去12か月で19.29%、年初来でも9.6%の上昇を見せており、すでに上昇トレンドに入っていることは事実である。ただし、価格が割安であることと、それが短期的に上昇するかどうかは別問題であり、過去のピークを再び目指すには市場の需給だけでなく、投資家心理やマクロ経済動向も作用する。

一方で、仮想通貨のようなボラティリティは銀には比較的少なく、実物資産としての安定感を評価する動きも根強い。キヨサキの予測には大胆さがあるが、基礎的なファンダメンタルズの裏付けがある点で無視できない。市場の中で「見落とされがちだが本質的価値が高い資産」としての銀に、再評価の機運が高まる可能性は否定できない。

Source:Finbold