2025年4月時点のCPU-Z統計によれば、AMDは過去一年で市場シェアを16.6%拡大し、対照的にIntelは10%の減少を記録した。牽引役はRyzen 7 9800X3Dであり、単体で4.3%のシェアを獲得して最も人気の高いCPUとなった。
これにより、8コア構成のCPUが全体の24.7%を占めるに至り、コア構成の勢力図にも変化が生じている。さらに、AM5ソケットの採用が前年比144.9%増と急伸し、B650チップセットの需要拡大も確認された。
同時に、GPU市場ではNVIDIAが6.4%のシェアを失う一方、AMDが16.6%の増加を見せており、x86分野全体での勢力拡大が明確になっている。
Ryzen 7 9800X3Dの躍進とCPU構成トレンドの変化

Ryzen 7 9800X3Dは2025年初頭のCPU-Z統計において、単独で4.3%のシェアを獲得し、最も人気のあるプロセッサとして名を連ねた。
この影響はユーザーのコア選好にも波及しており、8コア構成が前年比で32.6%増、シェアでは24.7%に達している。6コア(22.5%)や4コア(19.4%)を上回り、性能と消費電力のバランスを重視した選択が浮き彫りになった形だ。Ryzen 7 9800X3Dの人気は、従来のゲーミング特化型プロセッサとは一線を画す多用途性能に根差している。
3D V-Cacheを搭載する同製品は、ゲーミングだけでなくクリエイティブ用途にも適し、汎用性を求めるユーザー層の需要を掴んだ。販売実績でも複数のECプラットフォームで首位を維持し、主流CPUとしての地位を確立している。この流れは、消費者の価格帯選好やワークロードに対する価値観の変化を如実に表している。
AM5ソケットとB650チップセットの採用拡大が示す市場の地殻変動
CPU構成だけでなく、プラットフォーム選定においても大きな地殻変動が見られる。CPU-Zの統計では、AM5ソケットが前年比で144.9%という飛躍的成長を遂げ、現在15.1%のシェアで2位につけた。一方、長らく主力であったAM4は依然として20.1%と最大シェアを保つものの、前年比では11%の減少となった。Ryzen 7000および9000シリーズへの移行が進んでいることがうかがえる。
この変化を支えるのが、B650チップセットのようなコストパフォーマンス重視の構成である。X870シリーズのような高価格帯製品ではなく、多機能かつ価格帯を抑えたB650に支持が集まっているのは、現実的なワークロードに応じた構成を選ぶ層の厚みが増していることを示している。AM5対応B650の柔軟性が、次世代移行の敷居を下げたことが採用拡大の背景にあると見られる。
AMDの躍進とNVIDIAの後退が映し出すコンシューマー市場の変調
同統計では、GPU市場においても注目すべき変動が見られる。NVIDIAは6.4%のシェアを失い、対照的にAMDは16.6%の増加を記録した。依然としてNVIDIAが最大シェアを保持しているとはいえ、2021年以降継続的に存在感を高めるAMDの伸長は看過できない。これは、GPUとCPUの両分野でAMDが技術的・商業的に勢いを得ていることを裏づける動きである。
消費者が求めるのは、単なる性能の高さではなく、全体のシステムコストや互換性、冷却効率といった要素も含めた「使い勝手の総合力」へとシフトしている。その中で、Ryzenプラットフォームと組み合わせやすいRadeon系GPUの存在が、相乗効果を生んでいる可能性も考慮すべきである。NVIDIA優位の構図に変化が生じている今、PC市場全体の勢力分布は過渡期に入っている。
Source:Wccftech