Xiaomiが開発中とされる初の自社製SoCが、TSMCの先進的な4nm「N4P」プロセスで量産される見通しとなった。これにより、米国による輸出規制が現時点ではXiaomiに及んでいない可能性が浮上している。
チップはARM設計に基づく「1+3+4」構成のCPUクラスターを採用し、独自コアは搭載しないとされる。グラフィックスはIMG DXT 72-2304を採用し、Snapdragon 8 Gen 2のGPUを凌ぐ性能を持つとの情報もある。
ただし、高度な3nm版はまだ未発表であり、正式発表時期も不明。性能はSnapdragon 8 Gen 1相当とされており、同社の半導体戦略が市場にどのような影響を与えるか、慎重に見極める必要がある。
4nm版SoCの仕様が判明 ARM設計依存とGPU性能に注目集まる

XiaomiがTSMCの4nm「N4P」プロセスで量産を目指す新SoCの仕様が明らかになった。CPUは「1 + 3 + 4」の構成を採用し、最上位コアに3.20GHz動作の「Cortex-X925」、続いて2.60GHzの「Cortex-A725」が3基、そして省電力の「Cortex-A520」が4基搭載される。構成そのものはQualcommのSnapdragon 8 Gen 3と類似しており、プロセスとリソグラフィーは共通している。
グラフィックス性能にも注目が集まり、Imagination Technologiesの「IMG DXT 72-2304」GPUが1.30GHzで動作するという。
このGPUはSnapdragon 8 Gen 2に搭載された「Adreno 740」を超える性能を持つとされ、特にグラフィック処理における優位性が指摘されている。ただし、全体的なSoC性能としては、Snapdragon 8 Gen 1と同等との見通しも報じられており、プロセッサ全体のバランスや消費電力の最適化には慎重な分析が必要である。
CPU設計において独自開発コアが含まれないことは、カスタムチップとしての革新性に疑問を残すが、初期製品としては実績あるARM設計の活用がリスク回避に繋がる面もある。TSMCとの連携状況や今後の製造能力にも左右されるため、次世代3nm版への移行を含めて中長期的な戦略の全体像が問われることになる。
Xiaomiの半導体戦略と米中規制の狭間での挑戦
米国が中国企業に対し、先端半導体製造技術へのアクセスを制限する中、Xiaomiが依然としてTSMCの4nmプロセスを利用可能であるという事実は注目に値する。AppleやQualcommなどと同様に台湾のTSMCに依存しつつも、Xiaomiは現時点で制裁の対象から外れている模様である。背景には、Xiaomiが通信インフラとは異なる民生機器に特化した企業として扱われている点も影響していると見られる。
この状況下で同社があえて独自コアを開発せず、既存のARM設計を選択したことは、米国の規制回避や製造パートナーとの調整の容易さを優先した結果とも解釈できる。より高度な3nmチップは既にテープアウト段階にあるとの情報もあるが、今回先行投入されるのは4nm版であり、実行可能性と製造コストの両面を考慮した戦略判断といえる。
中国内での半導体自立の圧力が高まる一方で、Xiaomiはグローバル展開を意識した柔軟な路線を維持している。今後、米中の緊張が再燃すれば、TSMCとの連携も揺らぐ可能性があるが、現時点では慎重な進出が功を奏しているといえる。ただし、情報の信頼性に疑念を呈する声も一部で上がっており、現時点では過度な楽観視を避け、動向を継続的に見守る必要がある。
Source:Wccftech