2025年3月に登場したSamsungのGalaxy A56とA36は、6.7インチのSuper AMOLEDディスプレイや5000mAhバッテリーなど共通点が多いが、チップセットやカメラ、素材に明確な違いがある。A56はExynos 1580を搭載し、12MPの超広角カメラやアルミフレームによる上質な外観が特徴。一方、A36はSnapdragon 6 Gen 3を採用し、やや控えめなスペックながらも堅実な作りと価格面での優位性が光る。

価格差が約100ポンドあるにもかかわらず、性能や機能面での差が限定的との指摘もあるため、どちらが本当に「賢い選択」かはユーザーの優先順位次第といえる。

上位モデルA56に見る装備差と体感性能のギャップ

Galaxy A56は、上位モデルとしてExynos 1580チップセットや12MPの超広角カメラ、アルミフレームの筐体などを備え、明確に「差別化」を図った設計となっている。実際、Geekbenchスコアでは良好な結果を示し、Pixel 9にわずかに劣る水準という評価もある。一方で3DMarkでは平均的で、ゲームなどGPU性能を問われる用途では突出したパフォーマンスは期待できない。Galaxy AIについても、完全なスイートではなく限定的な機能提供にとどまっており、A56を選ぶ理由が一概にAI体験とは言えない点が現状だ。

また、デザイン面ではアルミフレームによる高級感が際立つが、それが直接的に操作感や耐久性に大きく貢献するかは評価が分かれる可能性がある。つまり、スペック上の「上位」は感じ取れても、日常利用でその差をはっきりと実感するシーンは限られる可能性があるということだ。価格差の中に見た目やブランド的な位置付けも含まれている点を考慮する必要がある。

A56は総じて「万能で印象的」との評価を受けているが、それはスペックだけではなく、所有する満足感や見た目のバランスを含めた体験に起因している面が大きい。

A36の堅実設計とコストパフォーマンスに潜む価値

Galaxy A36は、上位のA56と比べると派手さは抑えめながら、価格に見合った堅実な構成が魅力となっている。Snapdragon 6 Gen 3を搭載し、チップ性能はやや控えめであるものの、日常的な操作や軽めのアプリ使用ではストレスを感じにくいレベルと考えられる。さらに6.7インチのSuper AMOLEDディスプレイはA56と同等で、明るさや色の鮮やかさでも不足はない。IP67の防水防塵にも対応しており、使い勝手という観点では大きな妥協はない。

一方、ボディはプラスチックフレームで、アルミに比べると質感や耐久性での優位は薄れる。ただし、軽量化につながる可能性や、落下時の衝撃吸収など別の利点も考慮されるべきである。レビューがまだ行われていないため実際の使用感には未知数な部分があるが、少なくともスペック表から見た限り、コストを抑えながら機能面で必要十分な選択肢である印象は強い。

特に「価格以上の価値」を重視する人にとって、A36はかなり魅力的な一台になり得るといえる。

両機の価格差に見る「選ぶ理由」の本質

A56とA36は同時期に登場し、画面サイズやバッテリー容量などの主要スペックにおいては共通点が多い。だが、英国内ではA56の256GBモデルが499ポンド、A36の同容量モデルが399ポンドと、およそ100ポンドの差がある。この価格差は、上位チップセットやカメラ性能、素材の違いに起因するものの、それがすべてのユーザーにとって等しく価値があるかは慎重な判断が必要となる。

たとえば写真撮影を重視するなら、超広角が12MPのA56は有力な選択肢となるだろう。しかし、普段からSNSや動画視聴が中心であれば、A36のカメラでも十分に満足できる可能性がある。さらに、ワイヤレス充電が両モデルとも非対応、ディスプレイやバッテリーに大きな差がない点から、機能面での優位性はそこまで明確ではない。

このことから、両モデルの「選ばれる理由」はスペックの優劣だけでなく、使う人のスタイルや重視する機能、さらには予算に応じた「納得感」によって大きく変わってくる。選択は数値の比較だけでなく、自身の使用環境を踏まえた視点が不可欠である。

Source:TechRadar