サムスン電子アメリカは、AIに最適化された新インターフェース「One UI 7」を4月7日から正式に展開すると発表した。米国ではGalaxy S24シリーズやZ Fold6などが4月10日から対象となり、今後数週間で他の対応デバイスにも拡大される見込みである。
今回のアップデートは、自然言語検索やGoogle Geminiとの連携強化、「AI Select」などの直感的機能を軸に、ユーザー体験の根本的な刷新を目指すもの。ロック画面の「Now Bar」や新UIウィジェットによる操作性向上も図られている。
Galaxy AIを活用した創造支援機能も注目されており、テキスト要約、画像生成、音声調整など、生産性と創造性の両面で日常的なスマートフォン操作の質的変化を促す可能性がある。
One UI 7が実現するAI駆動型UXの進化

One UI 7は、サムスンが提唱する「Galaxy AI」の中核を担うユーザーインターフェースとして位置づけられており、日常操作の効率化と表現力の拡張を意図している。注目すべきは、「AI Select」や「Writing Assist」などの新機能であり、コンテンツに応じた自動提案、文章の要約・整形、さらにはスケッチから画像を生成する「Drawing Assist」などが搭載された点である。
これにより、ユーザーは従来よりも少ない操作で目的を達成できる環境を手に入れることとなる。また、ビデオ編集においては「Audio Eraser」が音声、雑音、自然音などをAIで分類・調整し、音質向上を図る機能として提供される。
これまでプロユースに委ねられていた音響調整が、一般ユーザーの手元でも実現可能になる点は見逃せない。これら一連の機能は、すべてクラウド連携とSamsungアカウントを前提とし、ネットワーク環境に依存する面もあるが、ユーザーの創造性を刺激する設計となっている。
このようなAI主導型の体験は、単なる効率化を超え、スマートフォンの役割そのものを「受動的なツール」から「能動的なパートナー」へと変化させる可能性を秘めている。ただし、個々の機能の精度や有用性は、今後のユーザー評価とアップデートによって左右される点にも留意すべきである。
デザイン刷新とGemini統合が示す今後の方向性
One UI 7では、視覚的体験にも大きな変化が加えられている。ユーザーインターフェースの簡素化と一貫性の強化が図られ、ホーム画面やウィジェット、ロック画面に至るまで洗練されたデザインが導入された。
特にロック画面の「Now Bar」は、スマートフォンを解除せずに情報確認やメディア操作が可能となる新要素であり、短時間での操作や通知対応が求められる現代の利用シーンに即した設計といえる。
加えて、Google Geminiとの連携は、自然言語によるデバイス操作をさらに現実的なものへと近づける試みである。「近隣のペット可イタリアンレストランを探す」といった自然な命令文に対し、検索結果を即時提示できる点は、従来の音声アシスタントを超える応答性を予感させる。
この自然言語検索は設定画面にまで拡張されており、「目が疲れた」と言えば、ブルーライト軽減設定などが提示される仕組みも実装された。こうした機能群は、デバイスとの距離を縮める方向に働いており、将来的には操作インターフェースの脱タッチ化を進める布石とも捉えられる。
裏を返せば、より直感的かつ会話的なデジタル体験が主流となる中で、ユーザーの操作習慣そのものが変化していく可能性も含んでいる。ただし、その利便性が真に活きるのは、音声入力が円滑に使える環境が整備されている場合に限られる。各国の言語対応状況と実運用時の安定性は、今後の普及速度を左右する鍵となろう。
Source:Samsung Newsroom