中国のZephyrが発表した「GeForce RTX 4070 Sakura Snow X」は、CNC加工されたフルアルミ製シュラウドと一体型I/Oブラケットを採用する、極めて珍しい構造のMini-ITX対応GPUである。サイズは176×127×41mm、シングルファンのデュアルスロット設計ながら、標準仕様のRTX 4070に匹敵するパフォーマンスと6°C低い動作温度を実現している。
同社は過去にも世界初のITXフォームファクターRTX 4070を手掛けており、小型フォームファクター向けに特化した製品戦略を貫いている。新型Sakura Snow Xでは、12GB GDDR6Xメモリ、5,888基のCUDAコア、最大2,475MHzのブーストクロックなどスペックも充実しつつ、金属素材ならではの質感と冷却性能の向上を両立。
小型ながら高性能を実現したRTX 4070 Sakura Snow Xの構造とスペック

Zephyrの「GeForce RTX 4070 Sakura Snow X」は、小型フォームファクター向けとしては異例のフルCNC加工アルミボディを採用している。サイズは176×127×41mmとMini-ITXに準拠した設計でありながら、AD104-250ダイや5,888基のCUDAコア、12GBのGDDR6Xメモリを搭載し、ベースクロック1,920MHz、ブーストクロック2,475MHzと標準仕様のRTX 4070と同等のパフォーマンスを備える。
さらに、シングルファン構成にもかかわらず、冷却性能においても従来モデル比で6°Cの温度低下を達成しており、CNCアルミ素材と新設計のクーラーシュラウドが冷却効率の向上に貢献している。外装はレンダリング画像では白く見えるが、実際の製品はメタリックグレー仕上げで、堅牢かつ洗練された印象を与える点も特筆に値する。
DisplayPort×3とHDMI×1という出力構成は、一般的なユーザーのマルチディスプレイ環境にも十分対応可能であり、フォームファクターと性能のバランスに優れた設計となっている。中国国内のEC限定販売という入手性の制限はあるものの、価格は4,399元(約605米ドル)と、素材と仕様を考慮すれば一定の妥当性があると考えられる。
CNC加工アルミボディが生む質感と冷却性の両立
従来のMini-ITX対応GPUでは、軽量化やコスト面からプラスチック製のシュラウドが主流であった中、「Sakura Snow X」は全体をCNC加工によって削り出したアルミニウムで覆っている。この素材の選定は、視覚的な高級感だけでなく、放熱性にも直結しており、冷却効率を高める設計思想が随所に現れている。
高密度な熱設計が求められる小型GPUにおいて、素材の選択が動作温度に与える影響は無視できない。特にこのモデルでは、シングルファン設計にもかかわらず従来機と比較して6°Cも温度を下げており、ファン単体での冷却能力よりも筐体全体の熱伝導性の高さが効いていると考えられる。
また、アルミ素材の外装は、光沢を抑えたメタリックグレーに仕上げられており、単なる機能部品ではなく外観のデザイン性を重視したいビルダーにとっても魅力的な要素となる。一般的なGPUとは一線を画す外観と機構の融合が、PCケース内に設置された際の存在感を確実に高めるだろう。
次世代モデル登場後も価値が揺るがないRTX 4070の位置づけ
Sakura Snow Xが搭載するGeForce RTX 4070は、すでに後継アーキテクチャであるBlackwell世代が登場している中でも、依然として価格性能比に優れる選択肢とされる。Notebookcheckによれば、Blackwellとのパフォーマンス差は最大でも16%に留まっており、世代交代の影響を大きく受けない堅実なGPUである。
特に小型フォームファクター向けでは、高性能とコンパクトさの両立が困難な領域であり、既存世代でも十分な性能を発揮できるRTX 4070は、実用性と価格のバランスにおいて一定の優位性を保っている。ゲーム用途はもちろん、映像編集や3Dレンダリングといった高負荷作業にも対応可能な点も見逃せない。
Sakura Snow Xは、最新世代へのこだわりよりも、現実的な構成とビルドの完成度を重視するユーザーにとって、十分に検討に値する一枚となるはずだ。特に、冷却性能と外観デザインの両面に配慮された設計は、単なるスペックの高さを超えた魅力を備えている。
Source:Notebookcheck